調剤だけではない 少子高齢化社会における薬剤師の重要性

セルフメディケーションが重要に
2024年9月現在で、日本の65歳以上の高齢者は約3600万人、2040年以降は訪問診療がピークを迎えると推計されます。世界有数の長寿国である日本は、「健康に長生きする」ことが大きな課題です。そのためには自分で健康を守るセルフメディケーションが大切であり、薬剤師の存在も重要です。例えば、風邪や痛みなど、市販薬で対応できる場合には、ドラッグストアなどで体調に合った薬を選ぶことが必要になります。より自身の症状に合わせた薬を選択する際には、薬剤師への相談が有効です。また、万が一病気になり、介護が必要となってしまった場合は、病院での治療から、身近な地域医療へと引き継がれます。その際、在宅医療を支える担い手として訪問薬剤師も重要な役割を担っています。
訪問薬剤師とは
訪問薬剤師の特徴の一つは、医師や看護師とは違い、栄養剤や介護用品など、患者の状態に合った生活に必要なものを提案し、提供できることです。また家族やキーパーソンとなる人と話しながら、患者がより快適に過ごせるように医療の視点からアドバイスすることも医療従事者として大切な仕事です。高齢者が増え続ける今後、薬剤師は病院や薬局での調剤の仕事だけにとどまらず、病気の予防や治療、介護の現場での活躍が期待されます。
企業や行政とも連携
介護現場での声をもとに、薬剤師が企業とコラボレーションして商品を開発することも今後は必要になるでしょう。研究開発の一例として、口腔(こうくう)ケアが難しい寝たきりの人に対して、舌の上にのせるだけで舌苔(ぜったい)をきれいにする作用があるジェルが食品メーカーと共同で開発されました。東京都内の地域では大学と行政が連携し、市販されている健康茶の「利き茶」をしながら、自分の体調に合ったお茶を見つけることが出来るような、地域住民とのつながりを大切にするカフェもスタートしました。
少子高齢化が加速する中で、薬剤師が必要とされる場面は今後ますます増え続けていくのです。
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