歯科と工学のコラボで、歯科治療はもっと進化する!

歯科に必要な「ものづくり」の技術
歯が欠けたり抜けたりしたときに、かぶせ物で修復する、あるいは入れ歯やインプラントを入れるなどして治療する分野を「補綴(ほてつ)歯科」といいます。かぶせ物や入れ歯やインプラントは、できるだけ本物の歯に近い見た目やかみ心地になるよう、精密に作らなくてはなりません。そこで近年は、生体の機能や構造を解析して、それを「ものづくり」に生かす工学分野と連携しながら、よりよい治療をめざす研究が進められています。
かんだときにかかる力
建物を建てるときは、地震が起こっても倒れないように、力のかかり方をシミュレーションして柱の本数や位置を決めます。入れ歯やインプラントも、そうあるべきです。ところがこれまでは、かんだときにかかる力の大きさや方向を数値化・可視化する技術が確立されておらず、それらの設計は歯科医師の経験に頼っていました。そのため、どうしても入れ歯やインプラントが欠けたり外れたりする不具合が起きていたのです。
最近は歯学と工学が連携して、銀歯やインプラントに特殊な小型センサを組み込み、かんだときの力の大きさや方向を測定する研究が行われています。さらに、その力が骨にどのような影響を与えるのかをコンピュータでシミュレーションし、数年後の状態を予測するための研究も進んできました。
よりよい歯科治療の未来へ
この研究が進めば、治療した歯をより長く安定して使える、安心・安全な歯科治療が行えるようになります。かむことは、食事を楽しむだけでなく、免疫力を高めたり、認知機能を保ったりと、全身の健康にも大きく関わっています。また、口の周りの筋肉を使うことで、見た目の若々しさを保つことにもつながります。たとえ歯を失っても、自然の歯と同じようにしっかりかめる人工の歯が手に入れば、健康も、美しさも、毎日の楽しみも諦めずに済む未来が待っているのです。
今後は一人一人に合わせた、より精度の高い治療の実現に向けて、研究が進んでいくことが期待されます。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
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先生情報 / 大学情報

東北大学 歯学部 歯学科 教授 依田 信裕 先生
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