看護師が生き生きと働くと、高齢者の生活がより良く変わる

その人らしい生活を送るには
入院中に高齢者の体力や筋力、認知力が衰えないようにすることは看護師の重要な役目です。食事や入浴などの日常生活動作(ADL)が低下すると退院して自宅に帰ることが難しくなります。そこで、出来ることはご自身でしてもらったり、会話の中で日付を意識したりする支援を、本来の治療とは別に看護師同士が協力して行っています。
病院から介護付きの高齢者施設に移る人もいますが、そこでもやはり、健康管理は看護師の仕事です。ただし高齢者施設で働く看護師は、離職率が高い傾向にあります。そこで、高齢者施設で働く看護師のワークエンゲージメント(仕事へのやる気や熱意)に関する調査が行われました。
高齢者施設で働く看護師の悩み
病院では医師を中心としたチームで治療や看護にあたりますが、高齢者施設には医師が常にいるとは限りません。高齢者施設で働く看護師に行われた不安や困りごとの聞き取りでは、緊急時に救急車を呼ぶかなどの判断を委ねられ、病院で医師からその判断を否定された経験を持つ人が多いことがわかりました。また、病院では外科や内科などの診療科に分かれて働き、その分野の専門的な経験や知識を積んでいきますが、高齢者施設では全体を見なくてはならず、見逃しの不安を抱いていました。高齢者施設で働く看護師は、病院勤務の経験者がほとんどですが、病院とは違う能力を求められることに悩んでいたのです。
自信と支え合い
そこで自信を持って緊急時の判断ができるように、救急診療の基本や事例を学ぶ研修会が行われました。また、1日の終わりに共に働いたチームでお互いに助けられたこと、感謝したいことを伝え合う「サンキューカード」という取り組みも実施されました。すると、自分が当たり前にしていたことでも周りから感謝されていると知ることができ、自信や支え合いの意識が生まれたのです。こうした取り組みが看護師のワークエンゲージメントを高め、より良い健康管理や生活支援につながっていくことが期待されます。
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