一見では非実用的、実はすごい「リー代数の表現論」

「対称性」を集合として研究する
数学には、数の性質、演算(計算)の性質などを研究する「代数学」という分野があります。素因数分解や、x,yなどの文字を使った方程式も代数学に含まれます。演算の性質を調べる分野の一つに「群論」があります。「群」とは、対称性を扱うもので、例えば正六角形の回転対称、線対称などの性質が対称性です。この、回転させたり、対称軸でひっくり返したりという対称性の「操作」の数々を、集合にしたものが「群」です。
対称性はx,yなどの文字を使った「多項式」にもあります。例えば、x+yとy+xとは答えが同じです。これが多項式の対称性です。この研究を深めることで、4次方程式までは解の公式があるけれど、5次方程式以上には解の公式が存在しないことが証明されています。
抽象的な概念を数値で表す
数学の中に、「リー代数の表現論」という研究分野があります。「リー群」というある種の群を、数字や文字を縦横に並べた「行列」で表現する研究です。「60度回転」など操作を示す言葉を数値で表すことによって、計算、解析などがしやすくなり、そこから新たな数学的な発見ができるという意義があります。
最近の研究では、「ある種の可換環にレフシェッツ性(幾何学的なよい性質)がある」ことが証明されました。「環」とは、足し算・掛け算ができるなどのルールを持った集合で、「可換環」はその中でも「掛け算の順番を入れ替えても同じ」という条件を持った「環」です。そこに、リー代数の表現論を応用した解析を行った結果、上記の性質が証明できたのです。
量子コンピュータのプログラミングに
このような、実用的とは言いにくい代数の研究も、間接的に最先端技術に応用されることがあり、研究の重要性は高まっています。リー群・リー代数も、量子コンピュータのプログラミングにも生かされており、開発者にとっては必須の知識となっています。今後、量子コンピュータのプログラム開発が盛んになれば、こうした分野の教育の重要性もより高まると考えられます。
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先生情報 / 大学情報

北海道教育大学 教育学部 教員養成課程(釧路校) 教授 和地 輝仁 先生
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