講義No.15657 数学

一見では非実用的、実はすごい「リー代数の表現論」

一見では非実用的、実はすごい「リー代数の表現論」

「対称性」を集合として研究する

数学には、数の性質、演算(計算)の性質などを研究する「代数学」という分野があります。素因数分解や、x,yなどの文字を使った方程式も代数学に含まれます。演算の性質を調べる分野の一つに「群論」があります。「群」とは、対称性を扱うもので、例えば正六角形の回転対称、線対称などの性質が対称性です。この、回転させたり、対称軸でひっくり返したりという対称性の「操作」の数々を、集合にしたものが「群」です。
対称性はx,yなどの文字を使った「多項式」にもあります。例えば、x+yとy+xとは答えが同じです。これが多項式の対称性です。この研究を深めることで、4次方程式までは解の公式があるけれど、5次方程式以上には解の公式が存在しないことが証明されています。

抽象的な概念を数値で表す

数学の中に、「リー代数の表現論」という研究分野があります。「リー群」というある種の群を、数字や文字を縦横に並べた「行列」で表現する研究です。「60度回転」など操作を示す言葉を数値で表すことによって、計算、解析などがしやすくなり、そこから新たな数学的な発見ができるという意義があります。
最近の研究では、「ある種の可換環にレフシェッツ性(幾何学的なよい性質)がある」ことが証明されました。「環」とは、足し算・掛け算ができるなどのルールを持った集合で、「可換環」はその中でも「掛け算の順番を入れ替えても同じ」という条件を持った「環」です。そこに、リー代数の表現論を応用した解析を行った結果、上記の性質が証明できたのです。

量子コンピュータのプログラミングに

このような、実用的とは言いにくい代数の研究も、間接的に最先端技術に応用されることがあり、研究の重要性は高まっています。リー群・リー代数も、量子コンピュータのプログラミングにも生かされており、開発者にとっては必須の知識となっています。今後、量子コンピュータのプログラム開発が盛んになれば、こうした分野の教育の重要性もより高まると考えられます。

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先生情報 / 大学情報

北海道教育大学 教育学部 教員養成課程(釧路校) 教授 和地 輝仁 先生

北海道教育大学 教育学部 教員養成課程(釧路校) 教授 和地 輝仁 先生

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代数学、基礎解析学、表現論

メッセージ

日常生活の役に立たないと言われがちな数学ですが、なぜ研究するかと言えば、「素朴な疑問を解消するため」です。例えば、足し算をもっとうまくやる方法はないだろうかという疑問から掛け算が生まれ、その積み重ねで数学が進んできて、今ではさまざまな技術の元になっています。あなたも疑問が出たときは、それをきっちり考え抜きましょう。理解が深まって、次のステップに進められます。数学という教科はすべてにおいてしっかりと証明がついており、疑問があれば最初の定義まで戻って理解を積み上げることができるのです。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

北海道教育大学に関心を持ったあなたは

北海道教育大学は、北の大地北海道の主要都市(札幌、旭川、釧路、函館、岩見沢)にキャンパスを置く国内最大級の教育系大学です。教員の養成はもちろんのこと、国際地域や芸術とスポーツに特化した学科も有しており、所属する教員の研究分野は、教員養成をはじめとする大学教育に活きています。全国それぞれの地域にも教育系大学はありますが、大学生活の4年間を四季折々の美しい大自然に囲まれながら北海道で学んでみませんか。きっと充実した毎日が送れるはずです。「人が人を育てる」を合言葉に全力であなたをサポートします。