母子の命を守る産科医はジェネラリスト!

日本のお産は安全?
日本の妊産婦死亡率は約10万人に3人程度です。発展途上国では10万人に400人くらいの妊産婦が亡くなっているのと比較して、「日本のお産は安全だ」とよく言われます。漫画『コウノドリ』の中に、産科医の主人公が「ボクらは毎日、キセキのすぐそばにいる」と言うシーンがありますが、無事に出産することを奇跡と感じている人は、少ないかもしれません。しかし、10万対3という数字が交通事故で亡くなる人とほぼ同じだと聞くと、印象が変わるのではないでしょうか。しかも実際の医療現場では、発展途上国で亡くなる妊産婦とほぼ同じ約250人に1人が、妊娠中の合併症や出産時のトラブルで命の危機に瀕しているという統計があります。
思いがけない病気が見つかることも
妊娠するまで元気に過ごしていたのに、妊娠をきっかけに病気が見つかることがあります。超音波検査で胎児の先天性の心臓病などを発見することも可能になりました。小児科と連携して生後すぐに対処することで、以前であれば助からなかった命も助かることが増えています。
あるケースでは、赤ちゃんの心臓の大血管に拡大や蛇行が見つかり、骨、皮膚、血管などの全身の結合組織が弱くなる遺伝性の病気が疑われました。そこで、妊婦さんをよく診察しなおしたところ、同じ病気を持っていたことがわかったのです。気づかずに出産を迎えていれば、子宮破裂や大動脈解離を起こす危険があり、命を落としていたかもしれませんが、帝王切開で無事に出産することができました。
産科医に求められる総合力
安全なお産は、現代の日本においても、決して当たり前のことではありません。妊娠中からしっかりと健康を管理していく医療体制があってこそ、つながった命がたくさんあります。母子の命を守るために、産科医は産科学や周産期医学のスペシャリストであることはもちろん、内科学、胎児学、新生児医学、遺伝学、救急医学など、さまざまな学問の知識を持った「ジェネラリスト」であることが求められます。
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先生情報 / 大学情報

信州大学 医学部 医学科 産科婦人科学教室 講師 菊地 範彦 先生
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