フレイル予防で健康寿命を延ばす 理学療法士にできること

フレイル予防で健康寿命を延ばす 理学療法士にできること

入院して歩けなくなるのはなぜ?

病院に同じように入院しても、回復後に歩ける人と歩けなくなる人がいます。この違いは、入院前の体力にあります。もともと体力が低下している状態で入院すると、入院をきっかけに介護が必要な状態になりやすいのです。
加齢により心身の活力が低下した状態は「健康」と「要介護」の間に位置づけられ、「フレイル(虚弱)」と呼ばれます。疲れやすい、歩くのが遅い、握力が弱いといった介護の一歩手前の状態を指し、風邪や入院をきっかけに一気に寝たきりになるリスクが高いとされています。しかし、フレイル状態になったからといって悲観することはありません。適切な対策をすれば、健康な状態に戻すことができます。

フレイル健診の取り組みからわかったこと

長野県松本市は、行政・病院・大学が連携したフレイル対策に取り組んでおり、公民館や福祉ひろばに、地域の人々が気軽にフレイル健診を受けられる場を設けています。毎年1000~2000人ほどが健診を受けますが、リスクが高い人には病院のフレイル外来を紹介して、医師、理学療法士、栄養士、歯科衛生士など多職種による支援を行っています。
適切な栄養・運動・人との交流を意識して取り組むことが健康寿命を延ばすことにつながることはわかっています。ただ、この取り組みにより集まったデータによると、ガイドラインで推奨されるような週2~3回の中強度の運動だけでなく、かかと上げや散歩などの簡単な運動を毎日コツコツ続けることでも、フレイル予防に一定の効果が期待できることが見えてきました。

データを使ってフレイルを予防する

松本市では、フレイル予防の拠点づくりを構想しつつ、地域の健診と病院の多職種で支えるフレイル外来が連携する先進的なモデルが始まっています。現在、集まった5年分のデータのAIでの解析が行われています。そこから、どんな人が要介護になりやすいのか、また医療費がかかりやすいのかなどを導き出して予測し、リスクの高い人に早期から適切な支援を届けることをめざしているのです。

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信州大学 医学部 保健学科 理学療法学専攻 助教 中村 慶佑 先生

信州大学 医学部 保健学科 理学療法学専攻 助教 中村 慶佑 先生

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リハビリテーション科学

メッセージ

理学療法士の仕事は、単にけがや病気からの回復をサポートすることにとどまりません。患者さんが再び歩いて家に帰れるようにすることで、幸せな暮らしを送る手助けができる仕事なのです。超高齢社会の今、運動に関する医学的・専門的知識を学び、それを提供できる職業として、今後ますます求められるでしょう。この分野に関心があるなら、ぜひ人と接することを大切にしてください。部活動や趣味、ボランティアなど、日々のコミュニケーションの経験が、患者さんとの信頼関係を築くことに生かせるはずです。

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信州大学は、人文・教育・経法・理学・医学・工学・農学・繊維の8学部からなり、すべての学部に大学院が設置されています。教員は約1千人、在学生数は約1万1千人で、世界各国からの留学生約400人も意欲的に学んでいます。
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