女性の労働をとらえ直す「渡りのキャリア」という考え方

労働市場のマイノリティ
女性は男性に比べて、労働市場では不利な立場になることが多く、順調なキャリアを築くにはさまざまな困難を抱えています。出産や子育てなどで一度仕事を辞めると、なかなか再就職できず、仕事に戻れても正社員ではなく契約社員として働くなど、苦労をする人も少なくありません。社会学では、労働市場のマイノリティである女性の現状をつかむために、さまざまな調査の手法を用います。例えば、インタビュー調査では、人々の語りから人の人生を知り、社会と人間の関わりを明らかにすることで、社会的な問題を解決する糸口を見つけていきます。
女性に集中する子育てと介護
かつての女性は、妊娠や出産を機に仕事を辞める傾向が見られましたが、近年は辞めなくなりました。しかし、その後の子育て中に仕事と家庭を両立できなくなり、仕事を辞めるケースが少なくありません。
また、現在大きな問題になっているのが、女性の介護離職です。子育てには一定の区切りがあり、子どもたちも少しずつ成長して手が離れていきます。それに対して、介護は終わりが見えないまま長く続き、加えて相手もどんどん衰えていくという難しさがあります。娘あるいは妻の立場の女性たちが介護を担いやすいというジェンダー問題があり、介護の負担解消は重要な社会課題となっています。
渡りのキャリア
女性たちは苦労を重ねながらも、柔軟かつしたたかに状況に対応し、中断や失敗を糧にして次の人生ステップに進んでいます。こうしたキャリアの中断をマイナスとはとらえず、「渡りのキャリア」として肯定的に受け止める視点が社会には求められます。これまでの日本では、同じ企業でずっと働くという終身雇用制など、男性的なキャリアの築き方だけが評価されてきました。それに対し、「渡りのキャリア」でスキルや経験を獲得していく生き方は、会社にとらわれず長く働くことに向いています。女性たちの多様な働き方は、人生100年時代と言われる現在を生きていく上でも、役に立つ視点をくれるでしょう。
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