リハビリテーション科学が描く「共生するまち」

問題はどこにある?
「共生」は大切だと誰もが言います。しかし、車いすの人が入りにくい店や働きづらい職場はまだ多く存在します。それは本人の「能力」の問題なのでしょうか。それとも、社会の仕組みやルールの問題なのでしょうか。例えば、アルバイトの面接で「週3日以上必須」と言われたら、学校の評価が筆記試験だけだったら、それに合わない人は「能力がない」のでしょうか。実は「できない」は、個人の中に問題あるのではなく、環境との関係で生まれます。共生が難しい理由は、まちや制度が「平均的な人」を前提に設計されているからかもしれないのです。
「人」ではなく「社会」をどう見るのか?
リハビリテーションというと、体の機能を回復させる訓練を思い浮かべるかもしれません。しかし、リハビリテーション科学は「人を治す」ことだけを目的とする学問ではありません。その人が社会の中で役割を持ち、参加できるかどうかを考えます。大切なのは、人の能力だけを見るのではなく、望む暮らし方、働き方を実現するための環境や制度に目を向けることです。例えば、働ける人を増やすのではなく、働ける環境をつくるという発想です。個人を変えるのではなく、人と社会のつながり方を再設計するのです。
共生は「設計」できる
共生は理想やスローガンではなく、社会の設計によって実現できます。段差をなくすといったことだけでなく、働く時間や仕事の分担を工夫したり、一人一人が得意なことを生かせる役割をつくったりすることで、多様な人が参加できるまちは生まれます。大切なのは、誰かを「支える」だけでなく、誰もが自然に参加できる環境をつくるという発想です。
障害がある人の社会参加を考えるのがリハビリテーション科学の目的の1つです。そして、そのためにまちや制度をデザインし直すという視点は、保健・医療・福祉といった分野にとどまらず、社会の仕組みそのものを考え直す視点へと広がっていきます。
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