うつはなぜ生じるの? 思考のメカニズムを探る

うつはなぜ生じるの? 思考のメカニズムを探る

うつはなぜ生じるの?

人間は生物としてはとても弱い存在です。他の動物のように強靭な肉体や運動能力は有していません。一方で、言語を用いて「考える」ことで、将来のことを考え、今ある問題を消し去って(解決して)繁栄していきました。
しかしながら、こころの問題は、物理的な問題(暑いからクーラーを開発する)とは違い、「考える」ことが有用な手段になりません。例えば、友達に嫌なことを言われて、嫌な気持ちになったとします。その時に嫌な気持ちを消し去ろうと、どれだけ考えても(例:あの人はなぜあんなことを言ったのか)、嫌な気持ちはなくならない、むしろ余計にしんどくなったりしますよね。このように、物理的な問題では「考える」が有用だったので、こころの問題にも有用だろうと適用するとますます問題が悪化し、うつになってしまうと言われています。

なぜ「考える」のか?

ここで一つの疑問が湧くでしょう。「「考える」が有用でないなら、どうしていつまでも考えるのか?」という疑問です。これまでの研究では、うつの人はいっぱい「考えて」いるので、ネガティブなことをたくさん考えていると思われてきました。しかしながら、研究によって、うつの人ほど、ポジティブなことをたくさん考えているということが分かってきました。つまり、たくさん「考える」人は、幸せになりたい、幸せな生活をしたいと思っているからこそ、「考える」という行動をしている可能性があることが分かってきています。

「考える」への心理支援

「考える」ことがこころの問題を悪化させているとしても、人間が人間である限り、「考える」ことをやめるのはとても難しいことです。では、「考える」代わりに何をするといいのでしょうか。近年の研究では考え自体を観察することが有効であることが分かってきています。心理療法では、マインドフルネスといった言葉でも知られています。自分は今こんなことを考えているのかということに気がつくことで、「考える」から距離を取るという心理支援が行われています。

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武庫川大学 ※2027年4月、共学化。名称変更。 心理・社会福祉学部 心理学科 講師 茂本 由紀 先生

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メッセージ

大学の学びは、どの分野でも対象を観察してじっくり考え、探究していく姿勢が求められます。特に心理学では、人に興味を持って観察することが求められます。そのため、受験に関係ないからと切り捨てず、今のうちから日常のいろいろなことに関心を向けてほしいと思います。例えば映画やアニメ、小説などにも人のこころは表れています。このように、一見、直接関係なさそうなことが関係しているということが心理学の世界ではよくあります。ぜひ心理学を学ぶまでにいろいろなことに目を向けて毎日を過ごしてほしいと思います。

武庫川大学 ※2027年4月、共学化。名称変更。に関心を持ったあなたは

『一生を描ききる女性力を。』をVisionに掲げる日本最大の女子総合大学。2023年4月、新たに心理・社会福祉学部、社会情報学部、スポーツマネジメント学科(健康・スポーツ科学部)が誕生。2024年4月には、歴史文化学科(文学部)が誕生し、12学部20学科の女子総合大学に進化しました。文系、理系、スポーツ、芸術系まで多種多様な学びに加え、キャリアセンター・学校教育センターを中心に就職サポートも充実。自らの意志と行動力で可能性を拡げ、生涯を切り拓いていく女性を育成しています。