講義No.15826 看護学

看護師の働き方をデザインする 看護現場の「段取り」とは

看護師の働き方をデザインする 看護現場の「段取り」とは

実習と現場にはギャップがある

看護学生たちは、実習を何十時間も経験します。しかし、いざ病棟で働き始めると、うまく仕事を進めていくことができず、困難を抱える人が少なくありません。実習では一人の患者を受け持ちますが、現場では複数の患者を担当しないといけないというギャップがその原因です。仕事は何事も段取りが重要ですが、段取りの力を学生時代の看護教育で学ぶことは難しく、現場で先輩看護師の背中を見ながら身に付けていくことになります。

段取りとは何か

新人看護師が仕事の段取り力を身に付けるには、段取りとは何かを考える必要があります。そこで、看護師たちの後ろについて行動を記録する研究が行われました。また、看護現場と似た段取り力が求められる仕事現場を探し、飲食店などに出向いて業務を観察するといった調査も実施されました。その結果、目の前の状況が目まぐるしく変わる中、何をどう進めていくのかを考え、対応していく力が看護現場に必要な段取り力の一つだとわかりました。

看護の仕事を解明する

また、新人時代を覚えている3年目ぐらいの看護師、ベテランの看護師それぞれにインタビューも行われました。その成長プロセスをたどったところ、うまく仕事の段取りができる看護師には業務の「余白」の意識があることがわかりました。余白を作るために工夫し、できた余白を患者に還元しているのです。また、段取りがうまくできない新人看護師の多くが、心理的に不安定な状態に陥っていたことも見えてきました。机上では考えられるのに、現場で対応できないのは、焦りからくるものです。特に壁となっているのが「多重課題」の発生です。目の前の患者に対応しているとき、ナースコールが鳴るといった状況は多く、新人看護師の心身への負荷になっています。多重課題への対処法を学習プログラム化できれば、新人看護師の助けになるでしょう。看護師の仕事を構造化し、漠然としていた「段取り力」を明確にすることは、看護師の働き方の改善につながっていきます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

武庫川大学 ※2027年4月、共学化。名称変更。 看護学部 看護学科 教授 清水 佐知子 先生

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看護マネジメント学

メッセージ

看護学のベースになるのは、人への関心です。ぜひ、さまざまな人と関わったり、本やマンガを読んだりしながら、多様な価値観、多様な考え方や生き方に触れてください。その積み重ねは、看護の現場で必ず生きてきます。ただし、「助けたい」という気持ちだけで、人を助けることはできません。
看護学は、根拠に基づいて実践する学問であり、実践科学です。相手や状況によって求められる看護は異なるため、絶対的な正解が一つではないところに、看護学のおもしろさと奥深さがあります。

武庫川大学 ※2027年4月、共学化。名称変更。に関心を持ったあなたは

『一生を描ききる女性力を。』をVisionに掲げる日本最大の女子総合大学。2023年4月、新たに心理・社会福祉学部、社会情報学部、スポーツマネジメント学科(健康・スポーツ科学部)が誕生。2024年4月には、歴史文化学科(文学部)が誕生し、12学部20学科の女子総合大学に進化しました。文系、理系、スポーツ、芸術系まで多種多様な学びに加え、キャリアセンター・学校教育センターを中心に就職サポートも充実。自らの意志と行動力で可能性を拡げ、生涯を切り拓いていく女性を育成しています。