看護師の働き方をデザインする 看護現場の「段取り」とは

実習と現場にはギャップがある
看護学生たちは、実習を何十時間も経験します。しかし、いざ病棟で働き始めると、うまく仕事を進めていくことができず、困難を抱える人が少なくありません。実習では一人の患者を受け持ちますが、現場では複数の患者を担当しないといけないというギャップがその原因です。仕事は何事も段取りが重要ですが、段取りの力を学生時代の看護教育で学ぶことは難しく、現場で先輩看護師の背中を見ながら身に付けていくことになります。
段取りとは何か
新人看護師が仕事の段取り力を身に付けるには、段取りとは何かを考える必要があります。そこで、看護師たちの後ろについて行動を記録する研究が行われました。また、看護現場と似た段取り力が求められる仕事現場を探し、飲食店などに出向いて業務を観察するといった調査も実施されました。その結果、目の前の状況が目まぐるしく変わる中、何をどう進めていくのかを考え、対応していく力が看護現場に必要な段取り力の一つだとわかりました。
看護の仕事を解明する
また、新人時代を覚えている3年目ぐらいの看護師、ベテランの看護師それぞれにインタビューも行われました。その成長プロセスをたどったところ、うまく仕事の段取りができる看護師には業務の「余白」の意識があることがわかりました。余白を作るために工夫し、できた余白を患者に還元しているのです。また、段取りがうまくできない新人看護師の多くが、心理的に不安定な状態に陥っていたことも見えてきました。机上では考えられるのに、現場で対応できないのは、焦りからくるものです。特に壁となっているのが「多重課題」の発生です。目の前の患者に対応しているとき、ナースコールが鳴るといった状況は多く、新人看護師の心身への負荷になっています。多重課題への対処法を学習プログラム化できれば、新人看護師の助けになるでしょう。看護師の仕事を構造化し、漠然としていた「段取り力」を明確にすることは、看護師の働き方の改善につながっていきます。
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