著作権法とAIから考える法学の役割

新たな問題への対応
法律は人々の権利を守るためのルールですが、現代は技術の進化によって新たな問題が次々生じています。これに適切に対応するため、法律の条文や判例を分析して、法律の基本的な考え方を整理し、新しい問題にも応用できるかを検証することが必要です。
例えば、著作権法は楽曲や絵画など著作物を創作した人の権利とそれに関連する権利を保護し、文化に貢献することを目的とする法律です。CDをお客さんに聞かせるために楽曲を再生する場合、作詞家や作曲者の権利は著作権法で保護されますが、その楽曲の歌手や演奏者の権利は、保護されていません。「それはおかしい」という声があがり、現在、演奏家などの実演家の権利も保護されるよう、著作権法の改正が見込まれています。
AIと著作権
生成AIを使って「サルバドール・ダリ風」のように作風をまねた表現をすること自体は問題ありませんが、ダリの作品そのものを再現すると著作権侵害になります。では、生成AIが作った絵画や楽曲は、著作権法で保護されるのでしょうか。
著作権は、人が考えた内容を作品として表現したときに与えられます。生成AIが出力した作品は人が考えたものではなく、基本的には著作権は発生しません。ただし、人が創作した作品にAIが補助的に修正を加えるような場合には、創作者に著作権が認められます。
適切な解決を社会へ
生成AIは、多数の作品を学習したうえで結果を出力します。この学習行為は著作権侵害には当たらないとされていますが、その一方で、創作者の利益が損なわれているのではないかという声もあります。こうした不利益を調整するため、授業資料をオンラインで提供するときに補償金を支払うように、生成AIの学習についても、権利者への補償が必要なのかが問われています。
社会全体で見ると、著作権法をめぐる問題への理解は十分とはいえません。正しく理解し、適切な解決手段を社会に示すことで創作者の権利を守りながら、社会や文化の発展につなげていくことが著作権法学の重要な役割であるといえます。
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