講義No.15927 法学

著作権法とAIから考える法学の役割

著作権法とAIから考える法学の役割

新たな問題への対応

法律は人々の権利を守るためのルールですが、現代は技術の進化によって新たな問題が次々生じています。これに適切に対応するため、法律の条文や判例を分析して、法律の基本的な考え方を整理し、新しい問題にも応用できるかを検証することが必要です。
例えば、著作権法は楽曲や絵画など著作物を創作した人の権利とそれに関連する権利を保護し、文化に貢献することを目的とする法律です。CDをお客さんに聞かせるために楽曲を再生する場合、作詞家や作曲者の権利は著作権法で保護されますが、その楽曲の歌手や演奏者の権利は、保護されていません。「それはおかしい」という声があがり、現在、演奏家などの実演家の権利も保護されるよう、著作権法の改正が見込まれています。

AIと著作権

生成AIを使って「サルバドール・ダリ風」のように作風をまねた表現をすること自体は問題ありませんが、ダリの作品そのものを再現すると著作権侵害になります。では、生成AIが作った絵画や楽曲は、著作権法で保護されるのでしょうか。
著作権は、人が考えた内容を作品として表現したときに与えられます。生成AIが出力した作品は人が考えたものではなく、基本的には著作権は発生しません。ただし、人が創作した作品にAIが補助的に修正を加えるような場合には、創作者に著作権が認められます。

適切な解決を社会へ

生成AIは、多数の作品を学習したうえで結果を出力します。この学習行為は著作権侵害には当たらないとされていますが、その一方で、創作者の利益が損なわれているのではないかという声もあります。こうした不利益を調整するため、授業資料をオンラインで提供するときに補償金を支払うように、生成AIの学習についても、権利者への補償が必要なのかが問われています。
社会全体で見ると、著作権法をめぐる問題への理解は十分とはいえません。正しく理解し、適切な解決手段を社会に示すことで創作者の権利を守りながら、社会や文化の発展につなげていくことが著作権法学の重要な役割であるといえます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東海大学 法学部 法律学科 准教授 内田 剛 先生

東海大学 法学部 法律学科 准教授 内田 剛 先生

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法学、知的財産法、著作権法

メッセージ

法律は、社会で起きていること、人の営みと密接に結びついています。政治や経済、歴史、今この瞬間に起きている国際的な課題も、法律と関わっています。法学を学ぶと、こうした出来事を読み解き、理解するための視点や切り口を手にでき、生きる力となります。好奇心が旺盛で、自分の興味関心を満たしたいならぴったりな学問です。法学は、学生全員が大学からスタートする学問で、誰もがトップになれる可能性があります。ぜひ一緒に、社会で起きている事柄を法律から読み解き、どのような解決が考えられるのかを探っていきましょう。

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