哺乳類の繁殖を制御するものは? 誰も知らない着床遺伝子を探せ!

妊娠を成立させるポイントは「着床」
ウシなどの畜産動物の繁殖は、人間の食料供給や経済活動を支える上で欠かせません。しかし、過去30年間でウシの受胎率は1~2割ほど下がっています。適切な人工授精や、質の高い受精卵を移植しても、受精卵の半数が着床しないのです。気候変動や乳量、肉質を重視した品種改良が影響しているのかもしれませんが、根本的な解決策は見つからないままです。
ウシの場合、人工授精から着床までの日数は約20日間で、この間に受精卵は細胞分裂して初期胚となり、子宮にたどり着きます。着床して胎盤が形成されれば、そのほとんどが出産に至ります。つまり、妊娠の成立に重要なのは、着床を完了させられるかどうかです。
「着床」を制御する遺伝子の発見
1987年に発見された「インターフェロンタウ」は、反芻動物の着床期の胚から分泌されるタンパク質で、妊娠の維持に欠かせません。インターフェロンタウに関する研究により、反芻動物の着床の研究が飛躍的に進みましたが、人為的なインターフェロンタウの投与だけでは、着床率を大きく上昇させることはできませんでした。よって、他にも着床を制御する未発見の遺伝子がいくつかあると考えられます。そこで、着床期の初期胚で高発現している機能未知遺伝子の中から、分泌型タンパク質を翻訳する可能性がある遺伝子について解析が進められています。現在までに、そのうちの1つが着床促進機能を持つことがわかってきました。
畜産動物を研究する先に
畜産農家の中には、豊富な経験から動物の体つきや行動を見れば、妊娠しやすい個体かどうかを判断できる人もいます。研究が進めば、農家が長年の経験で蓄積してきた「勘」のようなものを、科学的に説明できるようになるでしょう。また、繁殖学の研究では、食肉として利用されないウシやブタの卵巣や子宮を研究に活用できることもメリットです。そうした研究が進めば、畜産分野だけでなく生殖補助医療分野にも応用できるかもしれません。人間は動物たちから多くの贈り物をもらっているのです。
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