テープを貼って空気を操る! プラズマが開く「流れ」の制御技術

「魔法のテープ」が気流を変える
飛行機の翼の周りには、複雑な空気の「流れ」が生まれています。その流れをうまくコントロールできれば、燃費を大幅に改善できると考えられており、世界中の研究者がさまざまな方法に取り組んできました。その中で近年注目を集めているのが、「プラズマアクチュエータ」と呼ばれる装置です。
この装置の構造はシンプルで、テープ状の2枚の電極の間に誘電体を挟んで貼り合わせるだけです。動く部品がなく、薄くて軽いため、ドローンなどの小型の機体にも取り付けやすいという利点があります。
プラズマが流れを動かす
この装置の電極間に約1万ボルト弱の交流高電圧をかけると、表面にプラズマが発生します。プラズマとは、気体が高エネルギー状態になり、原子から電子が飛び出して、正イオンと電子に分かれた状態です。物質の「第四の状態」とも呼ばれます。
電場の存在により、これらの荷電粒子が流れを生み出し、運動量が外側の非プラズマ領域に伝達されることで、マクロな流れの制御が実現されます。例えば、翼の前縁に小さなプラズマアクチュエータを貼って動作させることにより、空気の流れにエネルギーが与えられ、気流が翼から途中ではがれて「失速」してしまうのを防ぐことができます。
広がる応用
プラズマアクチュエータの研究は、基礎的な動作特性の解明が進み、実用化に向けた研究が進んでいます。実用化においては、高電圧電源が大型で高価なことがネックになります。そこで、プラズマアクチュエータに必要とされる精度や機能を絞り込むことで、専用の小型電源装置が開発されました。これにより、応用範囲が広がり、小型の無人航空機に搭載して実際に飛行させながら性能向上を確かめる実験も進められています。
そして、翼だけでなく、自動車の車体周りの抵抗軽減やパイプ内の流れの制御など、これまであまり試されてこなかった場所への応用も模索されています。AIとの組み合わせによる新たな躍進にも期待が寄せられており、この技術の可能性の広がりが見込まれています。
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東海大学 工学部 機械工学科 講師 関本 諭志 先生
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