焼いて守る草原?! 自然の「価値」と人の関わりを考える

不可欠な資源だった草原
自然のままだと思われがちな日本の草原の多くは、人が手を加えることで維持されてきました。例えば阿蘇や秋吉台では火入れが定期的に行われています。日本の草原は放っておくと木が生えて森林へと変化してしまうため、草原の状態を保つには焼く必要があるのです。わざわざ手間をかけて草原を維持してきたのは、草は農耕用の牛や馬の餌、田んぼや畑の肥料、かやぶき屋根の材料など、生活に欠かせない資源だったからです。
見直される草原の価値
しかし現代では、農業機械や化学肥料の普及により、草の利用は大きく減りました。その結果、一部地域では採草や放牧が続けられていますが、日本の草原は急速に減少してきました。一方で、草原の新たな側面にも光が当たっています。草原は特有の動植物が生息する貴重な環境であり、生物多様性の保全に重要な役割を果たしています。また、草原の景観は観光資源として活用されてきましたが、草原を利用した新たなレクリエーションも展開されています。このように草原は、地域や社会全体にとって新たな「価値」を認められてきています。
誰が・なぜ・どのように守るのか
草原を管理する担い手の減少は大きな課題です。かつては地元住民の人々が共同で草原を利用しながら管理していました(難しい言葉で「入会(いりあい)」と言います)。しかし、草の利用が減る中で、高齢化と人口減少により、管理の継続が難しくなっています。また、火入れには延焼や人身事故のリスクも伴います。ボランティアの参加も広がっていますが、その安全管理も課題となっています。
こうした問題を考える上で重要なのが、草原の「価値」を考えることです。放っておけばなくなってしまう草原と人との関わりを維持するために地域社会、観光資源、そして環境の視点でどのような「価値」を認めるのか、その「価値」を守るため誰がどのような役割を果たすのか、その価値はどこに返るのか、こうしたクエスチョンについて、地域の経済や自治体の財政と結び付けて考えていくことが大事になります。
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