生体臓器移植の意思決定を支援する、看護職者の役割

看護の原点は、人を見ること
看護職者と称される看護師や助産師・保健師たちは、保健や医療・福祉の幅広い分野で活躍しています。病院や診療所のほか検疫所や刑務所、海外など働く場所もさまざまで、看護の対象者も多岐にわたります。対象者のバックグラウンドはそれぞれ異なり、生活する上で大切にしていることや病気に対する考え方など、価値観も倫理観も千差万別です。対象者を患者や利用者として見る前に人として向き合い、多角的な視点で多様性を理解することが看護職者には求められています。そうした理解が、よりよい治療へと導くことにもつながります。
生体臓器移植の意思決定支援
医療技術は日々進歩しており、特に臓器移植によって、これまで治療困難とされてきた疾患のある人の生命を救うことも可能になりました。日本では臓器移植の8割が生体間によるもので、腎臓や肝臓などの生体移植を一般的な治療ととらえる考え方も浸透しています。ただし、臓器を提供するドナーと臓器提供を受けるレシピエント、それぞれの決断により成立する医療であることを忘れてはいけません。ドナーもレシピエントも他者からの強制や圧力を受けず、移植の決定は自律した意思であることが最も重要で、そう実感できるよう支援していくことも看護職者の大きな役割です。
移植医療における看護職者の立ち位置
生体臓器移植が行われる病院は増えていますが、専任の移植コーディネーターがいる病院もあれば、病棟や外来勤務の看護師が兼任する例もあるなど、雇用形態も看護職者の立ち位置も定まっていないのが現状です。移植の意思決定支援の重要性に対する認知もいまだに低く、役割を医療現場で発揮しづらいという声も絶えません。しかし、移植の意思が確立しているか否かを確認する最初の場面に立っている看護職者だからこそ、状況に応じて中止の判断を医師に促すことすらできるのです。移植までをサポートするという意識ではなく、その人にとって最善の治療を最優先に考える仕組みづくりが、今後の大きな課題です。
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