平安時代の紫色はどんな色? 染色方法の謎を解き明かす

平安時代の紫色はどんな色? 染色方法の謎を解き明かす

謎に包まれた「高貴な紫」

紫は古くから最も高貴な色とされてきました。染料の一つが、紫根(しこん)というムラサキソウの根でした。平安時代の法典「延喜式」には、紫根で染色するための材料が記されています。しかし、具体的な手順は残されていません。例えば、紫根は油に溶ける性質を持つため、現代ではアルコールなどを使って染色しますが、当時はお湯だけで美しい紫に染めたと記されています。さらに紫根には、紫色の元となるシコニンのほかに別の色素も含まれており、別の色素を取り除きながら染めるのは困難を伴います。文献に残された材料の情報を手がかりに、古代の染色の再現が模索されました。

古代の技術を細かく再現

色の再現には、染める布も古代に近づける必要があります。糸を作る蚕(かいこ)は現代の主流の蚕ではなく、古代に近い遺伝子を持つ種が用いられました。また、当時は機械ではなく手で糸を引き出し、糸をねじらない製法が用いられており、現代の生産方法とは大きな違いがあります。そのため、現代の技術で工夫しながら当時に近い生地を織り上げました。加えて、染料の抽出方法や温度の管理も重要で、わずかな条件の違いによって色が大きく変化します。こうした細かな条件を一つ一つ検証することで、古代の人々がどのように紫を染めていたのかを解明しました。

知恵を見つめ直す研究

一般的な染色研究では、小さなサンプルを用いた実験が行われます。しかし、本来は衣装として使える大きさの布が染められていたはずです。そこで、1kgにも及ぶ布を実際に染色し、小さな実験ではわからない作業の難しさまで検証しました。また、考古学や織物の専門家と協力することで、歴史、美術、科学を横断した研究が進められました。
過去の技術を再現することは、単に昔を知るだけでなく、人の手が生み出してきた知恵や工夫を見つめ直すことにもつながります。古代の紫をよみがえらせる試みは、新たな価値を発見する研究でもあるのです。

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大手前大学 建築&芸術学部 デザイン・造形美術専攻 教授 今福 章代 先生

大手前大学 建築&芸術学部 デザイン・造形美術専攻 教授 今福 章代 先生

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天然染料研究

メッセージ

興味があることや「面白そう」「ワクワクする」と感じたことがあれば、ぜひ積極的に挑戦してみてください。チャンスは待つものではなく、自分でつかみにいくものです。やると決めた後に、どう進めるかを考えればよく、一人で難しければ周りと協力すれば道は開けます。また、大学では一つの分野に限らず、さまざまな分野に触れることで視野が広がります。将来に役立つかどうかだけでなく、「やりたい」と思う気持ちを大切にして物事に思い切り取り組むことが、自分らしい進路や人生につながっていきます。

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