永久凍土にも存在する森林の不思議

永久凍土にも存在する森林の不思議

乾燥・低温の厳しい環境だけど

「森林」というと、温暖・湿潤な気候のもとに誕生するものというイメージがありますが、砂漠並みの乾燥と極端な低温という環境下の東シベリア地域にも森林は存在します。本来は森林の形成に適さない気候のはずですが、その秘密を解くカギは「永久凍土」です。
「永久凍土」とは、2年以上続けて凍結している地面のことです。そこでは、表面に積もった雪が夏季だけ融け、凍土の表層の土壌に水分が蓄えられます。そのため、雨が少なくても樹木は生育可能です。さらに森林は日よけになり、凍土が融け過ぎるのを防ぐことで、森林と永久凍土の両方が維持されるのです。

水は少なすぎても多すぎてもダメ

こうしたことは、東シベリアの現地で直接さまざまなデータを計測することでわかってきました。樹木や土壌、空気などに含まれる水や二酸化炭素の量、温度などを継続して観測することで、物質やエネルギーがどのように循環して森林の生態系を成立させているのかが見えてきます。
例えば、降水量が少なすぎると、当然森林に悪影響があります。逆に降水量が多すぎる場合でも、水はけの悪い凍土では土壌が水分飽和状態に陥り、結果として樹木の枯死と森林の減少を招くことが明らかになっています。こうしたことから、森林の生態系は非常に絶妙なバランスの上に成り立っている、ということがわかります。

100年先の森林はどうなる?

現在、大気中の温室効果ガスの増加により、大きな気候変動が起こっていると考えられています。森林における物質やエネルギー循環のメカニズムを解析することは、森林の変化が気候変動にどう影響するかなどを考える上でも役に立ちますが、研究の目的はそれだけではありません。より大きな視点で、50年後、100年後の森林がどうなっているのか、永久凍土と森林の共存関係は変わっていくのか、植生は変化するのかなど、地球の生態系全体を考えるための貴重なデータの蓄積となるのです。

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名古屋大学 農学部 生物環境科学科 森林水文・砂防学研究室 准教授 小谷 亜由美 先生

名古屋大学 農学部 生物環境科学科 森林水文・砂防学研究室 准教授 小谷 亜由美 先生

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水文気象学、地球環境科学、自然地理学

先生が目指すSDGs

メッセージ

今、進路に迷っているかもしれませんが、そこで決めた進路が一生続くとは限りません。私の場合、大学の専攻、大学院の専攻、現在の仕事で、研究の対象がかなり変遷してきています。どこかに転がっている面白いことを見つけられるようアンテナを張ってみるのも1つのやり方です。アンテナの感度を良くしながら、今できることを頑張ってください。そして進路が変わったとしても、それまでやってきたことは無駄にはならず、全部がつながっています。そうやって、自分のオリジナルの進路をつくっていってください。

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名古屋大学は、研究と教育の創造的な活動を通じて、豊かな文化の構築と科学・技術の発展に貢献してきました。「創造的な研究によって真理を探究」することをめざします。また名古屋大学は、「勇気ある知識人」を育てることを理念としています。基礎技術を「ものづくり」に結実させ、そのための仕組みや制度である「ことづくり」を構想し、数々の世界的な学術と産業を生む「ひとづくり」に努める風土のもと、既存の権威にとらわれない自由・闊達で国際性に富んだ学風を特色としています。この学風の上に、未来を切り拓く人を育てます。