金属も疲れがたまると熱を出す? 材料が壊れる予兆を突き止めろ!

金属も疲労する?
金属は頑丈な材料として知られていますが、絶対に壊れないわけではありません。例えば、遊園地のジェットコースターに使われている金属製の車輪が壊れて、事故が起きたことがありました。原因は、金属に蓄積された「疲労」です。金属に限らず、材料は繰り返し負荷を与えると、疲労する性質を持っています。一回では壊れなくても、何度も負荷を与え続けていくと疲れて壊れてしまうのです。壊れる予兆である疲労をあらかじめ検知して、事故を未然に防ぐにはどうすればいいでしょうか。
疲労のヒントになる熱
金属の場合、疲労を発熱から検出できることが実験によってわかってきました。まずステンレスの試験片に繰り返し負荷を与えます。この試験片を赤外線サーモグラフィで測定し、表面の温度分布の変化から発熱量の分布を観察すると、ある特定の部分が顕著に発熱していることが確認できました。発熱している部分は実際に壊れた箇所とも一致しており、疲労の検出に役立つ可能性があります。
なぜ疲労した箇所に発熱が起きたのでしょうか。金属の疲労は、原子がずれることで起こるすべり変形と密接な関係があります。金属が疲労するとすべり変形が生じるのですが、その量には限界があります。そのため、こらえきれなくなると材料は壊れてしまうのです。金属が疲労するときに検出できる熱の正体は、すべり変形にともなう摩擦熱でした。
より安心して利用するために
実験はあくまでも小さな試験片レベルなので、大きな材料や、バネや歯車などの複雑な形状にも通用するのかは、さらなる研究が必要です。また、サーモグラフィによる検査とはいえ試験片に負荷を与える方法なので、実用化のためには完全に非破壊の検査方法を見つけることも求められています。疲労をいち早くとらえる方法や、材料の残りの寿命を診断する方法を確立すれば、ものづくりや工業製品のメンテナンスなどに役立てられるはずです。
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