リモートセンシングで肥料を最適化! 先端技術で農業を変える

リモートセンシングで肥料を最適化! 先端技術で農業を変える

国産小麦の課題

近年、地元で栽培された小麦を使い、特色のあるパンや麺を作る取り組みが各地で行われています。パンや麺には、タンパク質含有率の高い小麦が必要です。一方で、国産の小麦はタンパク質含有率が年次や産地で変動しやすく、製パン会社からは敬遠される存在でした。しかし最近では、よい品種が育成されてきたこともあって、品質のよい国産小麦が高値で取引されるようになってきています。小麦の生産を増やすためには、需要も拡大させる必要があります。日本の小麦の自給率は15%ほどで、パン用小麦に限れば数%しかありません。

施肥の見直しで農家の収入増

小麦が成長過程でタンパク質を生成するには、窒素が必要です。通常の小麦栽培では、種まき前、新しい茎ができる時期、穂ができる時期、開花期にそれぞれ窒素を含む肥料を与えます。課題は、収穫前に小麦が倒れて収量が減ったり、タンパク質含有率が低くなったりすることでした。そこで、肥料を与えるタイミングを見直し、成長点で穂が作られる期間に重点的に肥料を与える「穂肥重点施肥(ほごえじゅうてんせひ)」が考案されました。その結果、収量が5~15%上がっただけでなく、タンパク質含有率も高くなったのです。滋賀県では基本栽培技術として採用され、農家の手取りも上がっています。

センサ×AIで課題に挑戦

また、特色のある地酒も地域を盛り上げる存在です。こちらについても、例えば山口県では農家の高齢化や人手不足が課題となっており、リモートセンシング技術を使って収量と品質を安定させる取り組みが進められています。生育中の作物に含まれる窒素量をセンサで推定し、適切な肥料の量を計算する試みですが、生育ステージによって測定値と実際の窒素蓄積量にズレが生じることが問題となっています。原因は、成長過程で葉が重なってしまい、葉のデータをセンサが読みとれないためで、現在、AIを使ってズレを補正させるプログラムの開発が行われています。地域の農業の課題解決をめざし、先端技術を活用した研究が進められています。

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先生情報 / 大学情報

山口大学 農学部 生物資源環境科学科 教授 荒木 英樹 先生

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先生が目指すSDGs

メッセージ

これから何を学ぶか迷っているなら、まず社会の問題に注目してください。農学は、植物の病気や土壌といった目の前の課題を解決するために発展してきました。現在の日本には、農業の担い手の高齢化や農家の収入の低さ、食の安定など、多くの課題があります。それらの課題に対して、自分ならどういうアプローチで解決するかを考え、農学部を選ぶのもよいのではないでしょうか。例えばおいしいパンやお酒を作ることも、地域に「商い」を作り出し、地域の課題を解決する一つの方法だと思います。

先生への質問

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山口大学は「発見し・はぐくみ・かたちにする 知の広場」を理念に、9学部からなる総合大学です。英語の苦手な人も得意になれる! 山口大学のTOEICを活用した英語教育はすっかり定着しました。また、学生だからこそ考えつくアイデアに、資金を提供するプログラムとして「おもしろプロジェクト」があります。これら山口大学の個性的な取り組みにぜひご注目ください。