「図形の図鑑」をつくる研究 代数幾何学が秘める無限の可能性

図形の分類方法を考える
「代数幾何学」は数学の一分野で、例えばy=x²が放物線を表すように、文字を使った多項式で図形を表し、その性質を調べる学問です。代数幾何学では、図形の分類方法を考える「分類理論」が大きなテーマです。例えば、三角形を正三角形、直角三角形などに分類し、その性質を説明する「図形図鑑」をつくっていくイメージです。
図形は数学の対象であるだけでなく、物理でも使われます。例えば、「超弦理論」という最新の物理理論は「カラビ・ヤウ多様体」という図形によって説明されます。すべての図形の図鑑ができれば、図形を扱う数学や物理研究の土台になるため、大きな期待が寄せられています。
「正標数」の図形に挑戦
例えば、時計の時刻は0時、1時、2時と進み、23時からまた0時に戻ります。このように1をp回足すと0に戻る(ただしpは素数)という数の体系を「正標数」と言います。正標数の図形を扱う代数幾何学もあり、図形を分類する研究が進んでいます。
理論上、図形は無限に種類があるため、図鑑をつくることは困難です。例えると、ページ番号に√2、πなどすべての実数があるような「無限個」だと、図鑑ができないのです。しかし、無限でも、例えば「ページ番号が整数(1ずつ増える)」など一定のルールがあるなら、図鑑はできます。最近の研究では、3次元正標数の代数幾何学で、「Fano多様体」という特定の図形は、一定のルールで図鑑の作成(分類)ができることが証明されました。
フィールズ賞級の難問を解くヒントに
数学界には「正標数の特異点(図形上の交点や角)は解消できるか?」という難問があります。正標数以外では解消できると証明され、数学界のノーベル賞と言われる「フィールズ賞」が贈られていますが、正標数の場合はまだわかっていません。先述のような正標数の代数幾何学の分類理論では、図形を変形したときに特異点がどう変わるかという研究も行われています。数学界の難問を解決するヒントにつながる可能性もあるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報

千葉大学 理学部 数学・情報数理学科 准教授 佐藤 謙太 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
代数幾何学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?