モバイルバッテリーからリサイクルまで 社会を変えるイオン液体

モバイルバッテリーからリサイクルまで 社会を変えるイオン液体

イオン液体って何?

料理に欠かせない「塩(しお)」の主成分は塩化ナトリウム(NaCl)であり、ナトリウムイオンと塩化物イオンがイオン結合した塩(えん)と言われる物質の1つです。NaClは常温で固体ですが、それはナトリウムイオンと塩化物イオンという小さな球状のイオン同士が強く結合し、分子運動がしにくいからです。一方、体積の大きなイオンから構成される塩(えん)の場合、その結合力が弱く、容易に分子運動できるため、常温でも液体になることがあります。こういった物質を「イオン液体」と言います。イオン液体は、蒸発しにくい、燃えにくいなどの性質を持っており、新たな液体・材料として、さまざまな用途への展開をめざした研究が行われています。

安全で希少な資源を使わない電池

用途の一つが、充電できる電池「二次電池」です。電気自動車やモバイルバッテリーに使われるリチウムイオン電池には電解質として有機溶媒が使われていますが、これをイオン液体に変えると、発火しにくい電池ができます。また、イオン液体を使ったリチウムイオン電池なら、電子顕微鏡を使って充放電時の様子を原子レベルで観察できます。電子顕微鏡では対象物を真空状態にする必要がありますが、イオン液体は蒸発しないのです。また、リチウムではなくアルミニウムを電池反応に利用した新しい二次電池も開発されました。アルミニウムという地球上に豊富に存在する資源が使えるため、希少な金属に依存しない電池の生産が可能になります。

廃棄するアルミニウムを新品にしてしまう技術

アルミニウムのリサイクルにイオン液体を活用することもできます。従来のリサイクルプロセスでは、再利用するたびにアルミニウムの純度は低くなり、最終的には捨てられていました。一方、イオン液体を使った電気分解による新しいリサイクル技術では、新品と同じ純度のアルミニウムを回収することができ、高品質の資源として繰り返し有効利用できます。この技術は産業界からも期待されており、企業と大学の共同研究が進んでいます。

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千葉大学 工学部 総合工学科 物質科学コース 教授 津田 哲哉 先生

千葉大学 工学部 総合工学科 物質科学コース 教授 津田 哲哉 先生

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電気化学、材料科学、応用化学

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メッセージ

10年後、20年後にどんな自分になっていたいか、自分の将来像を描いて、その地点から今の自分を見てください。そうすることで、ゴールに到達するまでに必要なものや、今、自分が何をすべきかが見え、あなた自身のモチベーションも高まります。また、どんなに小さなことでもいいので、これだけは誰にも負けないというものを持ちましょう。「〇〇については、この教室の中では誰にも負けない!」というような知識や経験、プライドがあると、つらいことがあっても自分を支える自信やそれを乗り越えるきっかけとなるはずです。

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千葉大学は、他大学にないユニークな学部を含む全11学部を擁する総合大学です。学際的文理融合の精神のもとに、教育研究の高度化、産官学の連携推進、国際交流の拡充を進めています。近隣には放送大学、国立歴史民族博物館などがあり、各分野で共同研究が行われています。「つねに、より高きものをめざして」の理念のもと、世界を先導する創造的な教育・研究活動を通しての社会貢献を使命とし、生命のいっそうの輝きをめざす未来志向型大学として、たゆみない挑戦を続けます。