講義No.16148 法学

個人情報の入手は簡単? 個人の権利を守る情報社会の法のあり方は

個人情報の入手は簡単? 個人の権利を守る情報社会の法のあり方は

匿名は絶対ではない

「メッセージアプリのトークは外から見えない」「SNSの匿名投稿は自分だとバレない」と思っているなら、それは大きな間違いです。特定の手続きを踏む場合には、捜査機関がデータを取得できる制度がありますし、匿名投稿が他者の権利を侵害するものなら、発信者情報開示制度を通じて投稿者を特定できます。
また、アプリをインストールするとき、通常は規約に同意して使い始めます。規約には、さまざまな目的で個人情報を収集・利用すると記載されていることがあり、自らの情報が思わぬ形で使われることもあり得ます。

スマホのロックを同意なしで解除

情報通信技術の発展は、国家の情報収集のあり方にも影響を与えています。問題は、「技術的に可能な情報収集を、どこまで、どんな手続きがあれば行うことが許されるか」です。
かつて、警察が令状なしに容疑者の車にGPSを取り付けて行動を追う捜査が行われていました。後に違法とされましたが、その後も法整備による問題の整理はされないまま、データの取得一般を拡大するかたちでの刑事訴訟法改正が進められています。
近年は、スマホのロック解除について新たな問題が浮上しています。パスワードを聞き出すことは黙秘権の侵害にあたるためNGですが、指紋や顔認証によるロック解除は「供述ではない」という建前のもと、同意を得ずに解除することがまかり通っています。一般的にパスワードより安全と考えられている生体認証が、捜査の場面では逆に働き得るという矛盾は、既存の法律が想定しなかった問題です。

個人の権利をどう守るか

技術の発展は喜ばしいことですが、情報技術を用いた個人の情報収集の正しさは、権利との関係で問われなければなりません。
私たちの権利を守る根拠となるのは、日本の最高法規の「憲法」です。憲法上の権利は、人々が自由を求めて闘ってきた長い歴史に支えられています。社会や技術がどう変化したとしても、守るべき権利の本質は変わりません。人権を守るために必要なことは何か、問い続けることが求められています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

関西学院大学 総合政策学部 総合政策学科 准教授 小西 葉子 先生

関西学院大学 総合政策学部 総合政策学科 准教授 小西 葉子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

憲法、行政法、情報法、刑事訴訟法

先生が目指すSDGs

メッセージ

法学は、法律の専門職に就くための学問と思うかもしれません。しかし法学を学ぶ最大の意義は、自分自身を守ることにあります。高校で学ぶ歴史や倫理、国語だけでなく、数学や物理などを含め、幅広い知識はその土台となります。高校生のうちから、物事を多角的に見る力を養ってください。また、何か事件について考えるとき、最終的に重要になるのは「誰が一番かわいそうか」という感覚です。相手の立場に立って考える力は、日頃の生活の中でこそ育まれます。何よりもまず、身近な人への思いやりの気持ちを大切にしてください。

関西学院大学に関心を持ったあなたは

スクールモットーである"Mastery for Service"は、「奉仕のための練達」と訳され、関西学院の人間として目指すべき姿を示しています。1889年にアメリカ人宣教師W.R.ランバスによって創立された関西学院は、このスクールモットーを体現する、世界市民を育むことを使命とし、現在、関西学院の3つのキャンパスでは、約2万人の学生が個性あふれる14学部で学んでいます。2021年4月からKSC(神戸三田キャンパス)は文系の総合政策学部と理系の理、工、生命環境、建築学部の5学部体制となりました。