日本の行政は「お願い」が多い? コロナ危機対策に表れた違い

日独のコロナ危機対応
行政から「○○という行動をとってください」と言われたとき、それは法的に従うことが義務とされている場合と、そうではない「お願い」の場合があります。例えば2020年の新型コロナウイルス流行時には日本で緊急事態宣言が出され、学校の閉鎖などが実施されました。あくまでも義務や罰則のないお願いベースでしたが、多くの人は素直に従いました。一方、ドイツでは、法律に基づいて「(特別な事情なしに)2人以上で外出したら制裁金を科す」などの強い義務を課していた時期もありました。それは、「義務が課されていなければ、愚かなことをしようが本人の自由である」とみんなが考えているからです。そのような市民の間の感染拡大を止めるには義務が必須でした。
「お願い」を重視する日本
日本では、お願いベースの行政が続いてきました。人に何かを強制するには、まずそれぞれの法律で決められた要件を満たした上で、さらに相手の意見を聞くなどの手順を踏む必要があり、時間もコストもかかるからです。さらに、人口減少社会では、そのための人手も不足気味です。そこで、日本の行政機関は、「お願い」を多用する傾向にあります。政策を実現するために何かを改善してほしい場面を想定すると、まずは問題の内容と改善方法を行政が教え、市民に納得して動いてもらいます。その後改善されなかった場合のみ強制手段で取り締まるのです。
お願いと義務の適切な使い分け
海外企業や移住者が増え、多様な考え方や働き方が広まり、お願いが通用しないケースが日本でも増えてきました。「義務ではないから従わなくてもいい」というのは海外では当たり前で、法学の基本的な考え方ですが、「空気」を読んで従った市民は「ずるい」と思うかもしれません。平等に市民に接するためにも、行政は相手や状況に合わせてお願いと義務を使い分ける必要があります。情報を提供して自主的活動を促したり、対話の枠組みをつくったり……柔軟で建設的な法制度の作り方・使い方についての研究と実践が求められています。
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明治大学 法学部 法律学科 教授 横田 明美 先生
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