心の動きに注目して人間の行動や関係性を分析する

他人との関係を研究する学問
心理学は、人間の心を研究する学問分野です。その中のサブジャンルの一つである社会心理学では、他人と関係するときの心や行動について扱います。他人との関係には、家族や友人・恋人などの親しい人たちや、学校のクラスメイト、職場の同僚などの仕事相手、あるいは日本人という大きな枠組みなど、大小さまざまな人間関係が含まれます。社会心理学は自然科学寄りのアプローチを取る特徴があり、心の動きを数理モデルにして、実験や調査、さらには統計学の手法などを使いながら研究を進めていきます。
「ギブアンドテイク」を超えた関係
「利他行動」とは、他人に何かよいことをして助けてあげる行為です。世の中には「ギブアンドテイク」という言葉がありますが、友人や恋人などの親密な関係は、それとは少し性質が異なっていることが質問票を用いた調査でわかりました。親密な関係では、自分が助けてもらうことを期待して相手を助けるのではなく、相手がかけがえのない存在だからこそ助ける行動を選択します。困っている相手を助けると、相手に対して感じる親密さも上昇していました。逆に、相手が困っていないときに利他行動をすると、そんな自分が都合のいい人間のように思えてしまい、相手に対して感じる親密さも低下してしまうのです。
利他行動と罰との関係
どんな集団でも、最初は助け合うものの次第に協力が減っていく傾向がみられます。協力を継続させるために罰則を設けるのは有効な手段ではありますが、罰にはコストがかかる上、罰を与えることで人々が本来持っている利他性を損なう可能性もあります。助け合うという行動や、人間と社会の関係は、私たちが思うよりもずっと複雑なのです。
調査や実験を通じて行動の裏側にある心の仕組みを理解することで、より良い制度について考えたり他人に優しくなれたりするのは、社会心理学という学問の持つ大きな力です。社会における分断が進んでいる今だからこそ、心を分析する研究の意義は一層大きくなっていくでしょう。
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