その進路、本当に「自分で選んだ」のでしょうか?

進路選択が生む男女格差
男女の収入の格差は、働き始めてからの男女差だけが原因ではありません。高校時代の進路選択の段階で、すでに大きく方向付けられています。大学進学率の男女差は縮まってきていますが、専攻分野の違いが卒業後の職業選択に強く関連しており、それが就業後の格差につながっているのです。
例えば、難易度の高い大学をめざす場合、男子は理系が多く、女子は看護系や人文科学系が多いという偏りが見られます。人文科学系は専門職になりづらく、同じ医療系でも専門職である医師と準専門職の看護職では収入も待遇も異なります。学部選択の段階で将来の格差が固定されてしまうのです。
選択の違いはどこから?
「大学に進学するか、専門学校に行くか、就職するか」、また「理系か、文系か」といった選択は、個人の自由な意思決定に見えます。しかし実際には、保護者の影響や社会の期待によって、知らず知らずのうちに男女で異なる方向へ導かれていることがわかっています。例えば、高校2年生とその保護者を対象に進路希望や将来の職業についてアンケート調査が行われ、保護者の意識が子どもの進路選択に大きく影響しているという結果が得られています。
「男女の違い」を問い直す
「男子は理系、女子は文系」という考えの根拠として、「女子は数学が苦手」といった研究が提示されることがあります。しかし、これらの研究の多くにバイアスが含まれていることが指摘されており、信頼できるものではありません。学力的な適性だけで考えれば、もっと多くの女子が理系に進むことが妥当と考えられます。さらに、保護者や教師が理系進路を奨励するかどうかが、進路選択に大きく影響しているという研究結果も得られています。つまり、男女の能力差ではなく、周囲の思い込みや期待、奨励といった環境要因が、進路の偏りを生み出しているのです。
より公平な社会を実現するためには、私たちが「当たり前」と思っている男女の違いを問い直し、バイアスを無くしていくことが必要なのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報

関西学院大学 社会学部 社会学専攻 教授 髙松 里江 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
社会学、ジェンダー論先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?
![選択:[SDGsアイコン目標4]](https://telemail.jp/shingaku/requestren/img/data/SDGs-4-active.png )
![選択:[SDGsアイコン目標5]](https://telemail.jp/shingaku/requestren/img/data/SDGs-5-active.png )
![選択:[SDGsアイコン目標10]](https://telemail.jp/shingaku/requestren/img/data/SDGs-10-active.png )