「公の利益」を守る会計の力 政治の腐敗や不正もストップ!

会計が政治を正す
お金の力というのは強いものです。政治の力で変えられなかった世の中の混乱も、お金、すなわち会計の力で変えることができたという事例がたくさんあります。
例えば19世紀半ば、米国のある都市で、市民から集めた税金を、政治家たちが私利私欲のために勝手に使っていた状況がありました。さらに税金をつり上げようとした政治家に腹を立てた市民たちは、善良で倫理観のある人物を選挙で選び、当選させます。しかし、その当選した政治家もお金の魔力に屈し、ほかの政治家と同じ振る舞いをするようになりました。この事態を受けて、市民たちはどうしたでしょうか。
市民運動から生まれた予算制度
市民の中にはビジネスマンが多くおり、彼らは税金の使い道から調査し始めました。行政職員に帳簿を正しく記してもらい、決められた予算通りに経費が執行されているかをチェックしたのです。お金の流れが明確になると、次に行政の会計を監督、チェックする監査組織をつくりました。こうした市民運動が、現在の予算制度につながったのです。予算をチェックする会計システムが地方や州の行政機関で成功したので、連邦政府でも採用され、制度として確立していきました。
米国で19世紀末から顕著になった革新主義とは、資本主義の矛盾をさまざまな運動により是正しようとした、政治潮流の一つです。政治改革運動とみられていますが、その陰には会計の力もしっかりと働いていたのです。
会計システムが武器になる場は
会計システムは、経営や経済、政治といった利益や効率を求める場では必要であり、強力な武器になります。しかし家庭や、あるいは文化財を保全する博物館、美術館といった、利益や効率を求めない場に適用するのは正しいとは言えません。使い方を誤ると、ある意味、破壊的な意思決定を行う道具にもなってしまいます。何のために会計システムが必要なのか、目的を明確に持って運用することが大切なのです。
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公立鳥取環境大学 経営学部 経営学科 准教授 川﨑 紘宗 先生
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