キノコの力で古タイヤはリサイクルできるか?

キノコの力で古タイヤはリサイクルできるか?

ゴムの再資源化は難しい課題

廃棄されたプラスチックが、分解されずに環境中に散らばっていることが世界的に問題視されており、使い捨てプラスチックを減らしてリサイクルする手法が試されています。同様に、ゴム製品もリサイクルの課題を抱えています。廃棄タイヤの問題だけでなく、自動車が道路を走る際にタイヤが摩耗して細かいゴムの粒子が飛び散り、環境を汚染することも指摘されています。
タイヤなどに使用されるゴムは、ゴムの木から採取した天然ゴムに硫黄を加えることで伸縮性を持たせて製品化されています。ゴムの粒子同士の結合に対して、硫黄が「架橋」と呼ばれる橋渡しの役割を果たすのです。そのためゴムは構造が複雑で、分解して再資源化することが難しいため、9割の廃棄タイヤは焼却処分されています。

キノコの持つ不思議な力

しかし、ある種のキノコが、ゴムタイヤを分解する能力を持つことが発見され、注目されています。特に、人間が手を加えた「架橋」の部分を分解してくれるので、ゴムを再資源化しやすくできるのではないかと期待されています。
キノコには、じつにさまざまな種類のものがあり、私たちが目にするキノコ類の多くは、「木材腐朽菌」といって、取り付いた木を分解して栄養を得る生物です。木材を分解する能力を持つ生物は、地球上にキノコとシロアリしか存在しないと言われていますが、キノコには、まだ私たちが知らない不思議な能力を持つ種がいると考えられています。

リサイクルへの厳しい道のり

タイヤのメーカーもリサイクルに取り組んではいますが、タイヤは安全性が最優先されるため、リサイクル品の質が悪ければ、商品価値はありません。十分な強度を保てるゴムが求められるため、リサイクルの基準は厳しいのです。
現在、キノコがゴムを分解するメカニズムの解明が進められています。さらに、キノコの分解能力をどうすれば人為的にコントロールできるか、それを再資源化へどう結びつけていくかなど、課題は多く、今後の研究が待たれています。

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公立鳥取環境大学 環境学部 環境学科 准教授 佐藤 伸 先生

公立鳥取環境大学 環境学部 環境学科 准教授 佐藤 伸 先生

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応用微生物学、環境学

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メッセージ

キノコが地球上に誕生したのは約3億年前です。それまでは木材を分解する生物がいなかったため、枯れた木は堆積し、石炭となりました。キノコが誕生した3億年前を境に、石炭の埋蔵量は激減しています。このように、キノコは地球史において重要な位置を占めている生物であり、私はその面白さに魅せられてキノコの研究者になりました。あなたも自分が面白いと感じたことをとことん突き詰めてやってみましょう。損得勘定を抜きにして好きだから取り組んだことの先に、新しい何かが見えてくることがあります。

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