講義No.16239 医学 生物学

ゲノムで読み解く、過去・現在・未来

ゲノムで読み解く、過去・現在・未来

遺伝子で病気を見抜く

糖尿病も、生活習慣が関わるタイプだけでなく、遺伝によって発症するタイプがあります。「若年発症成人型糖尿病(MODY)」と呼ばれる疾患で、原因となる遺伝子を持つ場合、極めて高い確率で若年期に発症します。現在、患者のDNAを解析して原因遺伝子を特定し、診断や治療に役立てる研究が行われています。さらに、原因遺伝子がまだ見つかっていない患者を対象とした新たな原因遺伝子の探索や、AIを活用した診断支援システムの開発も進められています。
病気を診断するだけでなく、その人が将来どのような病気になりやすいかを予測し、予防につなげる研究も始まっています。

ゲノム検査が予防医療を変える

DNAの遺伝情報であるゲノムは、生涯変わることがありません。この特徴を生かし、ゲノム検査を人間ドックに取り入れ、健康診断データとAIを組み合わせて将来の疾患リスクを予測する研究が進められています。海外では、ゲノム情報を活用することで通常より早い段階でリスクに対応できることが報告されており、すでに国家規模で導入を進める国もあります。
こうした医療への応用を支えているのが、ゲノムが持つ多様性を理解する研究です。実は、その多様性は古代人のDNAからも読み解くことができます。

古代人のゲノムに刻まれた歴史

臓器移植の適合性を決める重要な因子として知られるHLA遺伝子は、人によって型が大きく異なり、病気へのかかりやすさにも関係しています。縄文人の骨からDNAを解析したところ、当時多かったHLA遺伝子の型は現代の日本人にはほとんど残っていないことがわかりました。その背景には、農耕の広がりとともに結核などの感染症が広まり、時代とともにHLAの構成が変化した可能性があります。
ゲノムは、過去の人類の歴史を読み解くだけでなく、現在の病気を診断し、未来の健康を守ることにもつながる研究分野なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東京薬科大学 生命科学部 生命医科学科 ゲノム情報医科学研究室 教授 細道 一善 先生

東京薬科大学 生命科学部 生命医科学科 ゲノム情報医科学研究室 教授 細道 一善 先生

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ゲノム科学、バイオインフォマティクス

先生が目指すSDGs

メッセージ

ゲノムは、私たちの身近なさまざまなことと関わっています。研究が進むにつれ、病気の原因を解き明かしたり、将来の健康リスクの予測に役立てたりできるようになってきました。さらに、過去の人々と現代人のゲノムを比べると、私たちがさまざまなルーツを受け継ぎ、どんな環境の変化を乗り越えて今の姿になったのかも見えてきます。ゲノムは過去・現在・未来と深く結びついた、とても面白い研究テーマです。そんなゲノムの面白さを、ぜひあなたにも知ってもらいたいです。

先生への質問

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東京薬科大学は私立で最初の薬学部と、日本で初めての生命科学部を併せ持つ大学です。
緑に映える赤レンガのキャンパスでは、両学部とも多彩な実験や研究活動を通じて、学生が自ら考える力を伸ばすこと、医療分野、生命科学・環境分野でヒューマニズムあふれるスペシャリストの育成を目指しています。