カエル研究で「性が決まる仕組み」に迫る

男性のY染色体は退化している
人間の場合、女性はXX、男性はXYの性染色体を持ち、このうち男性のY染色体は次第に退化していることが知られています。こうした「対にならない性染色体の退化」は動物に広く見られる現象ですが、例えばY染色体が退化しても、性を決定する遺伝子はY染色体上に維持されると考えられてきました。これを「袋小路仮説」と言います。この説に対して近年では、「性染色体サイクル仮説」が提唱されています。退化した性染色体に代わって、性染色体以外の常染色体など別の染色体が性決定の役割を担う、という考え方です。
性染色体の置き換わりが起きたツチガエル
ツチガエルを例に見てみましょう。ツチガエルは日本に広く分布する在来種ですが、複数の性染色体の組み合わせが確認されています。地域や集団によってそのパターンは異なり、進化の過程で性染色体の置き換わりが起きてきたと考えられています。こうしたパターンの多様化には、環境適応に関係する遺伝子が影響している可能性も指摘されています。一方、西アフリカに生息するネッタイツメガエルは、性染色体の置き換わりが進行中の段階にあると考えられています。現在、自然に近い環境で飼育・観察する研究が行われていますが、性染色体や遺伝子を詳しく調べることで、どのようなプロセスで性染色体の置き換わりが起こるのかを明らかにしようとしています。
病気の治療や農業に応用
「なぜ動物に性があるのか」は非常に根源的な問題です。こうした研究が進めば、その解明に一歩近づくかもしれません。それだけでなく、男性特有の病気の予防や治療、絶滅しそうな種を保存する方法などの開発につながる可能性もあります。また、農業への応用も期待されています。オスとメスの割合をコントロールすることで有害な虫などの数を減らすことができるのです。性が決まる仕組みを探る研究は、生命の成り立ちを問い直すと同時に、私たちの未来をつくる力にもなり得ます。
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