海外も注目する農村の魅力 地域の個性に光を当てる建築学

持続可能な集落を考える
地方の農村集落では、高齢化、過疎化が取りざたされていますが、現代の都市を前提に地域づくりを考えると、大切なことを見落としてしまいます。それぞれの集落では、歴史や風土、産業に合わせた独特の住居や街並みができているからです。
地域の建築や、人々の生活、自然環境の関係性を調べ、先人の知恵を学びながら、地域の個性を生かした持続可能な集落の在り方を考えることも、建築学の研究の一つです。研究では、気候風土や植生などを観察し、住民の話を聞いたり、各家庭に残る古い文献を集めたりと、地道なフィールドワークが行われています。
伝統の建築と景観の美しさ
一例として、山口県秋吉台の調査があります。秋吉台は石灰岩という地質のせいで、育つ植物も独特です。日本の家屋の多くはスギ、ヒノキが使われていますが、秋吉台では伝統的にマツが主な建築材料です。マツは虫がつきやすいため、「ベンガラ」という防虫剤が塗られ、赤みがかった外観になります。それが集落の景観に独特の美しさをもたらしています。構法も独特で、建築できる職人も少なくなっており、その魅力は失うと二度と再現できないのです。
また、石灰岩の地質は雨水が地中に浸透してしまうため、地域に川はなく、代わりに湧水があります。湧水を皆で分け合うという独特のコミュニティの暮らしも受け継がれています。
過去からの知恵の宝庫
最近では、日本の地方の地域が海外からも注目され、例えば山口県山口市はニューヨークタイムズの「訪れるべき都市」に選定されました。古い建物や街並みが残っており、ほかにはない魅力があるからです。
地方の過疎化や高齢化に対応するには、利便性を追求するだけでなく、魅力の保存や、助け合って暮らしてきたコミュニティを守ることも重視して、地域計画を立てることが必要です。地域の伝統や歴史は、観光資源であり、地域のアイデンティティであり、また過去からの知恵の宝庫としても大切な財産なのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報

![選択:[SDGsアイコン目標11]](https://telemail.jp/shingaku/requestren/img/data/SDGs-11-active.png )
![選択:[SDGsアイコン目標14]](https://telemail.jp/shingaku/requestren/img/data/SDGs-14-active.png )
![選択:[SDGsアイコン目標15]](https://telemail.jp/shingaku/requestren/img/data/SDGs-15-active.png )

