風景や建築の「心地よさ」を科学する 景観建築学の挑戦

美しいと感じる仕組みを探る
景観建築学は、建築と造園を一体的に考える学問です。「この空間、なぜか好きだな」と感じたことはありませんか。人は建築や風景に魅力を感じますが、なぜそう感じるのかは言葉にしにくいものです。この「わかるけれど説明できない」部分は、研究者の間でも長い間ブラックボックスとされてきました。景観建築学の重要なテーマとして、デザイン科学や感性工学、心理学の視点から、建築と景観、人間との関係を解き明かそうとする取り組みが挙げられます。人が空間を「心地よい」と感じるときの、そこに働く仕組みに迫ります。
人はどうやって空間を作るのか
建築設計を学んだ人と学んでいない人の建築空間の作り方を比較した研究事例では、完成作品の見た目に大差なくても、制作過程に大きな違いがあることがわかりました。建築を学んでいない人は、一筆書きのように壁を連続させることにより空間を広げていく傾向があり、建築を学んだ人は壁をあえて離して平行に並べたり、部屋の角に隙間を空けたりして空間を広げていく傾向が見られました。このような、空間を表現する過程で何度も繰り返す操作には、人が潜在的に持つ、心地よさを感じる空間の型が無意識のうちに表れているとも言えます。では、建築を学んだ人に特有の「重なり」や「隙間」、「ずらし」には、どんな意味があるのでしょうか。
伝統建築と景観に宿る知恵
「重なり」や「隙間」、「ずらし」には、視線や好奇心を奥へと誘う効果があります。座敷、縁側、庭、生垣などの要素を層状に配置し、屋内外の連続性を強調したり、庭を歩くたびに建物や植栽が視界を遮り、その角を曲がるたびに新しい景色が少しずつ現れたりする日本の伝統的建築や庭園はその代表例です。そのような空間構成が、人に美や心地よさを感じさせる要因と言えます。こうした知見は、景観や建築デザインの科学的な根拠になります。建築と屋外空間のデザインを統合した景観建築学は、人と環境の関係を科学的に解き明かして、より豊かな空間づくりに貢献していく学問分野です。
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先生情報 / 大学情報

武庫川大学 ※2027年4月、共学化。名称変更。 建築学部 景観建築学科 教授 杉浦 徳利 先生
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