日本人は「働きがい」が低い? ポジティブな労働意欲を育てる

日本人は「働きがい」が低い? ポジティブな労働意欲を育てる

日本人の働きがい

仕事を通じて得られる「働きがい」は、仕事への意欲を高める大事な要素ですが、ある国際調査によると、日本人の働きがいは、世界的に見て非常に低い水準が長年続いています。人口減少や高齢化によって人手不足が深刻化する現在、いかに人が前向きに働き続けられる環境をつくるかは、社会全体の課題です。
働きがいを向上させる鍵として注目されるのが、「心理的資本」と言われる概念です。これは希望・自信・回復力・楽観性の4つのポジティブな心理的エネルギーの要素からなり、頭文字からHERO(ヒーロー)と呼ばれます。4つのスコアが高いほど働きがいにつながることが海外の研究で示されており、それらは生まれつきの性格ではなく、後天的に育てられることがわかっています。

ポジティブは伝染する

実際に日本の大学病院の看護師を対象に、ポジティブな気持ちを高める研修を行い、前後で心理的資本のスコアを測定したところ、4つの要素すべてが向上しました。スコアだけでなく、職場の雰囲気の変化も確認されました。こうした効果は職種を問わず、広く適用できる可能性があり、創造性やウェルビーイングの向上にもつながることがわかってきています。注目すべきは、上司のポジティブなエネルギーは部下にも伝わるという点です。相互に影響しながら職場全体へ広がる、ポジティブの連鎖も期待できるのです。

日本に合った指標とは

心理的資本の測定は、アンケートによる自己評価が基本ですが、日本では自己評価を低く見積もる傾向があり、そこに評価の難しさがあります。実際、欧米で開発されたHEROモデルを日本のビジネスパーソンに用いると、楽観性の因子が数値に表れにくい特徴が見えてきました。しかし、謙虚とも言えるこの特性は、「人に支えられている」という感謝の気持ちを生み、日本独自のポジティブなエネルギーになっている可能性があります。欧米発のHEROをそのまま当てはめるのではなく、日本独自の物差しをつくることが求められています。

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和歌山大学 経済学部  教授 厨子 直之 先生

和歌山大学 経済学部 教授 厨子 直之 先生

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組織行動論、人的資源管理

メッセージ

近ごろ、夢や目標を持てないという学生が増えているようです。タイパやコスパばかりを気にせず、学校の文化祭でも部活動でも、仲間と時間を忘れて本気で取り組む経験を大切にしてください。目的がはっきりしていなくても大丈夫です。すぐに答えが見えないもどかしさを感じることもあるかもしれませんが、何かに真剣に向き合った経験は困難に立ち向かう力につながります。また、ぜひ幅広い分野に目を向けてみてください。ちょっとしたきっかけから、思いがけない面白さに出会えるかもしれません。

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