呼気の二酸化炭素がステーキに? 移住のための未来の宇宙食

SF映画のような技術に真剣
「宇宙食」と聞いて思い浮かべるのは、レトルトパウチやフリーズドライ食品かもしれません。しかし、未来の宇宙食は全く違います。現在進められている研究では、宇宙飛行士が吐き出した「二酸化炭素」から炭水化物や脂質を作り出し、それを微生物や昆虫に食べさせてタンパク質などの成分に変換します。その成分に風味を加え、3Dプリンターを使って「すし」や「ビーフステーキ」を錬成するという、まるでSF映画のような技術の開発に真剣に取り組んでいるのです。これは人類が月や火星に基地を造り、何世代にもわたり暮らす未来を想定しているからです。
移住した宇宙で「地産地消」
そのためには「地球から資源を持ち出さない」、これが絶対条件です。地球から食料を運び続ければ、地球の資源はあっという間に枯渇してしまいますから、宇宙空間にあるものだけですべてを賄う「究極の地産地消システム」が必要不可欠なのです。とはいえ、このシステムが実現して宇宙で完全に自給自足できるようになるまでには、まだまだ時間がかかります。それまでは既存の宇宙食は欠かせません。
災害備蓄、食品ロス削減にも貢献
宇宙食はHACCP(ハサップ)という厳格な衛生管理基準のもとで製造され、安全で長期の保存が可能です。さらにアレルギーに対応したものや、宗教上の制約をクリアするハラール認証を受けたものもあり、世界中の誰もが安心して食べられるユニバーサルな食品です。この非常に優れた技術は、私たちの暮らしにも役立っています。
例えば、災害備蓄食にも生かされ、国や自治体が広く利用しています。また、旬の食材が安く大量に手に入る時期に加工し、長期保存できる技術を確立することは、コストを抑えるだけでなく、おいしい食品を無駄なく消費する食品ロス削減にも大きく貢献します。宇宙食を学ぶことは、宇宙開発を支えるだけでなく、地球の食料問題の解決や災害から人々の命を救うことにも直結しているのです。
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名古屋葵大学(旧 名古屋女子大学) 健康科学部 健康栄養学科 教授 片山 直美 先生
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