田んぼの米から産業のコメへ 可能性が広がるシリコンナノ結晶

田んぼの米から産業のコメへ 可能性が広がるシリコンナノ結晶

安価でエコな新手法

半導体はいまや、ほとんどの機器に使われていると言っても過言ではありません。電気を通す・通さないが制御できる物質や、その物質を使った電子部品のことで、製品づくりには欠かせない存在です。半導体がなければ製品が作れず産業が滞るため、日本人に欠かせない米になぞらえて「産業のコメ」と言われています。
その半導体材料であるシリコン(Si)のナノ粒子を、イネのもみ殻から作る技術が開発されました。もみ殻は、構成する物質の20%がシリカ(SiO₂)というシリコンの化合物でできています。そのシリカを抽出し、SiとO₂ を分離するだけで、ナノサイズのシリコン結晶を作ることができます。この手法は、従来のように大きなシリコンの塊をナノサイズにする手間やエネルギーがかかりません。また大量に廃棄されるもみ殻の有効利用法としても価値がある技術です。

ナノ化による量子効果に期待

シリコン以外の半導体材料には、希少なものや高価なものがあり、シリコンでそれらと同じ性質、機能を実現できれば、安価で安定供給が可能になります。またシリコンは人体に無害というメリットもあります。
シリコンをナノサイズにすると、電子レベルの極めて小さな「量子」の世界でしか起こらない、量子効果と言われる特有の性質を持つようになります。従来のシリコンとは異なる機能を生かした製品を開発できるのです。このため、シリコンのナノ結晶にどのような性質があるかを調べる研究が進められています。

LED、太陽電池への活用

現在、注目されている機能は、発光です。シリコンはナノサイズにすることで、発光することが確認されています。発光する半導体としては、LED(発光ダイオード)が知られており、LEDに従来使われているのはガリウム窒素という物質です。それと同様のものをシリコンで作ることができるかもしれないと考えられています。このほか、太陽電池やリチウムイオン電池の容量がアップする電極に使うなど、シリコンナノ結晶の可能性が広がっています。

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先生情報 / 大学情報

富山県立大学 情報工学部 知能ロボット工学科 教授 松本 公久 先生

富山県立大学 情報工学部 知能ロボット工学科 教授 松本 公久 先生

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シルコンナノ結晶、光物性、半導体工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

半導体の大切さを多くの人にわかってほしいです。今のAIの進化は、半導体の進化によって実現しています。AIがすごいのは、半導体がすごいからなのです。天文学が進歩し、宇宙の謎が明らかになっているのも、望遠鏡に使われる半導体の性能が向上したためです。身の回りの半導体を少し意識してみてください。さまざまな機器に使われていて、ライトのLED、カメラのセンサ、パソコンのADコンバータも半導体です。どこに半導体が使われているかわかるようになると、今の産業社会がわかります。

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