講義No.16132 看護学

重症患者を支える集中治療の看護

重症患者を支える集中治療の看護

重症患者の鎮静の変遷

人工呼吸器が必要な重症患者に対し、かつては鎮静薬を投与して意識を落とし、苦痛を感じないようにして治療を行うのが良いとされていました。2000年頃から、鎮静を浅く(鎮静薬の投与を少なく)し、ある程度患者の意識を保ったほうが回復が早まるという報告が海外から届き始め、今では日本でもその方針に変わっています。自力で呼吸することが難しい重症の患者は、意識があることで苦しまないのでしょうか。また、回復を促していくには、どのような看護をすればよいのでしょうか。

患者の納得を得るということ

実際に集中治療室に勤務し人工呼吸器の管理に携わっている看護師に、鎮静を浅くして意識を保った場合の患者の反応を調査したところ、「痛みのコントロールがしっかりとできていれば、意思疎通を図ることができる」、「患者と筆談やジェスチャーでやり取りができるようになり、リハビリに前向きに参加してもらえた」、「以前よりも離床が早くなっていると感じる」といった声が集まりました。医療行為は、患者に説明をして同意を得てから行うのが基本です。しかし、集中治療室に入るほど重症の患者には、それができない場合もあります。鎮静を浅くすることで、患者自身が納得して治療を受けられるようになったことが、回復への意欲につながっていると考えられます。

看護師だからできること

集中治療室の看護師は、人工呼吸器をはじめとする医療機器の管理に長けていなくてはなりません。意識のない患者に対しては、モニターや検査データを見て速やかに患者の状態を判断します。意識のある患者に対しては、表情や仕草を見て体を動かしたときに辛くないか、不安を感じていないかなどをくみ取りながら励まし、離床を促していくことも重要な仕事です。鎮静を浅くした患者は、意識がはっきりとしていないように見えても、意外と多くのことを認知しています。集中治療室の看護師には、看護の原点に返り、患者のわずかな動きにも感性を働かせて、一人一人の思いをくみ取りながら関わる力が求められます。

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富山県立大学 看護学部 看護学科 成人看護学(急性期) 講師 大西 陽子 先生

富山県立大学 看護学部 看護学科 成人看護学(急性期) 講師 大西 陽子 先生

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メッセージ

高校時代は感性が育つときです。今は進路だけにとらわれず、人と関わるいろいろな経験を大切にしてください。それはきっと将来、あなたが頑張りたいと思うことを頑張れる力につながるでしょう。私は看護師をめざして学んでいたとき、くじけそうになったことがあります。そんなとき、ある実習で、脳梗塞で言葉を話せなくなった方に出会いました。涙を流しながら一生懸命に感謝を伝えようとしてくれる姿を見て、自分はこれほど感謝されるようなことができただろうかと思ったことが、もっと頑張ろうという原動力になりました。

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