講義No.16439 経営学・商学

商品の値段はだれが決めるか―価格に隠されたマーケティングの論理

商品の値段はだれが決めるか―価格に隠されたマーケティングの論理

値段は「価値」で決まる

同じエスプレッソでも、チェーン店では300円、銀座のカフェでは1,000円で販売されています。コーヒー豆のコストだけで値段が決まるのであれば、この差は生まれません。マーケティングでは、価格とは「消費者がその商品に感じる価値」を映し出すものだと考えられています。消費者は、「それだけ払う価値がある」と感じれば、高い価格でも購入します。逆に、どれだけコストをかけた商品であっても価値を感じなければ買いません。値段は、商品と消費者をつなぐ「価値の表現」なのです。

動かす値段:ダイナミックプライシング

飛行機の座席は、3週間前であれば3万円、出発直前には8万円になることがあります。同じ席であるにもかかわらず、なぜ価格が変わるのでしょうか。航空会社は将来の需要を完全には予測できません。そのため、早い段階では価格を安くして需要を確保し、席が埋まるにつれて価格を引き上げていきます。残り少ない席には、高い金額を払ってでも利用したい人が現れるためです。これを「ダイナミックプライシング」といいます。ホテルやテーマパークでも用いられているこの仕組みは、デジタル技術によってリアルタイムで需要分析や価格変更が可能になったことで、急速に普及しました。値段は「いつ買うか」でも左右されるのです。

動かさない値段:EDLP

一方で、セールをほとんど行わず、「365日ずっと低価格」を貫く戦略もあります。これを「EDLP(エブリデイ・ロー・プライス)」といいます。業務スーパーやニトリ、イケアなどがこの方針を採用しています。なぜこの戦略が強いのでしょうか。セールがない場合、消費者は「安くなるまで待つ」という行動を取りません。その結果、売上が特定の時期に集中せず、在庫管理や仕入れを効率化できます。価格を安定させることで、裏側では「在庫回転率」を高め、コスト削減にもつながります。
このように、値段の決め方は表向きの販売戦略であると同時に、経営全体を動かす仕組みでもあるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

目白大学 経営学部 経営学科 教授 岩永 洋平 先生

目白大学 経営学部 経営学科 教授 岩永 洋平 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

経営学(マーケティング、地域活性化)

先生が目指すSDGs

メッセージ

30年以上、広告代理店でマーケティングに携わり、広告制作や商品開発、事業開発、デジタルマーケティングを経験したのちに、教員になりました。大学で得た最も大きな財産は、知識そのものよりも「環境を読む視点」です。思い通りにならない状況の中で何が起きているのかを理解し、どう行動するかを考える力は、仕事だけでなく人生の支えにもなります。大学に進学したら、多くの経験を積みながら、この視点と学び続ける姿勢を身につけてほしいと願っています。それが、どんな時代でも通用する力になります。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

目白大学に関心を持ったあなたは

育てて送り出す―。本学はこの社会的使命を掲げ、多様に変化する現代社会を生き抜く人材育成を行っています。目白大学は平成6(1994)年の創設以来、社会の幅広い学究的要請に応える学問探求の場を提供しつつ、学部学科を増設し発展してきました。文系6学部を新宿キャンパス、医療・看護系の2学部をさいたま岩槻キャンパスに設置し、あわせて8学部16学科に約5,600余名が学んでいます。いずれのキャンパスも、豊かな緑と充実した施設設備で教育環境を整え、ひたむきな向学心と若い感性を育んでいます。