地域の支え合いと福祉の目を育てるソーシャルワーカー

支え合いの仕組みが急務
生活の困りごとを抱える人を支える活動を、ソーシャルワークといいます。従来のソーシャルワークは、困っている人への個別支援が中心でした。近年は、個別支援に地域支援を組み合わせた「コミュニティソーシャルワーク」が注目されています。
現代は、家族の規模が縮小し、一人暮らしの人が増えるだけでなく、昔の「向こう三軒両隣」のような近所で助け合う関係は失われつつあります。そんな中、誰かの手助けがないとゴミ出しや電球交換、薬の管理ができない、入院時に身元保証人がいないといった、独居の高齢者や孤立して暮らす人たちのさまざまな問題が浮き彫りになっています。専門職だけでカバーするには限界があり、地域の住民が支え合う仕組みづくりが急務なのです。
住民の地域を見る目を変える
地域の支え合いを実現するためには、住民一人一人の意識を変える必要があります。そこで大事なものが、福祉教育です。高齢者の現状や福祉の課題について住民への研修会を重ねていくと、地域を見る目や意識が変わり、異変に気づく力が生まれます。例えば、子どもが泣き叫ぶ声に住民が気づいて専門機関につなげたケース、雨の中をさまよう高齢者を認知症の徘徊(はいかい)だと察して保護につながったケースがあります。さらに、住民主導で高齢者のふれあいサロンが設置された地域や、日常の生活支援を行うボランティアグループが立ち上がった地域もあります。
福祉教育という新たな役割
福祉教育は、研修会だけにとどまりません。自治会や学校の集まり、子育ての場、地域のイベントなど、人が集まる場に専門家が足を運んで話をする「アウトリーチ」と呼ばれる手法が各地で実践されています。「研修会」では集まる人が限られますが、この方法ならより多くの住民に働きかけることができます。テーマも、その地域に合わせた身近な課題を取り上げ、住民に「自分ごと」として感じてもらえるよう工夫できます。地域住民の意識を育てるこうした福祉教育も、ソーシャルワーカーの大切な役割の1つです。
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静岡福祉大学 社会福祉学部 福祉心理学科 教授 渡邊 英勝 先生
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