企業の海外進出が成功する条件は? そのヒントを歴史から探る

課題に直面したパナソニック
「グローバル化」という言葉がよく使われますが、企業は海外でどのようにビジネスを展開しているのでしょうか。企業は海外へ事業を広げる際、進出先の環境や文化に対応する必要があります。
例えば、1960年代にパナソニックがタイに進出しました。当時のタイは農業国で、現地のパートナー企業は農業経営者や商人が中心でした。つまり「ものづくり」の経験がない相手と経営を進めることになったのです。パナソニックの駐在員たちは、相互の理解を深めるため、食堂で食事を共にしたり、なるべく現地の言葉で会話したり、日常的なコミュニケーションを通じて信頼関係を構築したといいます。
コカ・コーラの成功は
一方で、企業経営には標準化と適応化とのバランスが問われます。製品の仕様について、テレビのような家電製品は世界共通の部品が多いため、標準化するのが効率的です。一方、冷蔵庫のような白物家電は、国によって消費者が重視するポイントが大きく異なるため、現地に合わせた工夫が必要です。
また、経営判断をどの程度、現地法人に委ねるかも重要な問題です。参考になるのが、アメリカに本社を置くコカ・コーラの日本展開です。当初、日本では炭酸飲料だけを販売しており、日本法人が日本独自の文化だった缶コーヒーの開発を提案した際、日本の飲料文化を知らない本社は強く反対しました。日本法人は、日本市場に合った提案だと説得し、実現させた結果、大きな成功を収めました。
標準化か適応化か、本社の主導か現地法人か、いずれもどちらかに振り切るのではなく、現地の文化や市場を理解した上で、最適なバランスを見極めることが成功を左右します。
歴史的資料から発見
このような企業の試行錯誤は、数字だけを見ていてもわからず、当時の新聞や業界誌、駐在員の日記といった歴史的資料に触れることで初めて見える事実があります。企業がどのように課題に向き合い、判断してきたのか、企業経営の歴史を分析することはこれからのビジネスを考えるヒントになるでしょう。
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甲南大学 経営学部 教授 藤田 順也 先生
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