仮想世界で経営をシミュレート 経営情報学がビジネスを変える

仮想店舗で経営のアイデアを試す
もし自分が飲食店を開くとしたら、どんな工夫をするでしょうか。配膳ロボットやスマートフォンの注文システム、セルフレジなどを導入したいところですが、その正確な効果は多額の設備投資を行って初めてわかるものです。しかし、事前にコンピュータの中に「仮想の店舗」をつくり、仮想の世界で店の業務を試すことができれば、計画する設備がどれほどの効果を生み、投資はいつごろ回収できるのかといったことが、投資をする前に予測できます。現実の世界をデータで再現した仮想空間をデジタルツインといい、条件を変えて検証する方法をコンピュータ・シミュレーションといいます。
企業のDX効果を測る
コンピュータ・シミュレーションは、企業が取り組むデジタルトランスフォーメーション(DX)の効果を測る上でも有用です。まず、デジタルツインを使って、現在の業務プロセスをデジタル上に再現します。次に業務システムやAIを導入した場合の業務プロセスをシミュレーションします。両者を比較することで、業務時間がどれだけ短縮でき、どこにボトルネックがあるのか、などが事前にわかります。さらに、設定条件を変えて何度も繰り返すことで、現実には許されない失敗すらも経験でき、未曽有の危機に備えることもできるのです。
定量・科学データで裏付け
この技術は製造業だけでなく、さまざまな分野に応用できます。例えばある病院では、勤務中の看護師に電波で情報を読み取るICタグ(RFID)を付け、その位置データを収集しています。これを病院のデジタルツインと組み合わせることで、業務中の看護師の動きを正確に再現できます。これを利用すれば、パンデミック時の院内感染経路を洗い出すことや、またベテラン看護師の無駄のない動きをアニメーション化して新人研修に活用することも可能です。
このように、「経験や勘」ではなく、ITやデータという「定量的・科学的」な裏付けに基づき、ビジネスに役立つ取り組みを考えることが、経営情報学という学問の大きな意義です。
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専修大学 経営学部 経営学科 教授 譚 奕飛 先生
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