子ども食堂はなぜ人が来る? 新しい「居場所」の価値

変わりゆく居場所
「居場所」とは、その人が落ち着いて居られる場所を指します。従来は家庭や学校、地域コミュニティのように、長く所属できる安定した場所が居場所として重視されました。ただ、近年は人々の生活様式や人間関係が変化しています。地域のつながりは弱くなり、家族の形も多様化しました。学校や職場を含め、人が一つの場所に長く所属し続けることが当たり前とは言えなくなっています。
子ども食堂が生む関係性
現代の居場所を考える上で、ヒントになるのが「子ども食堂」です。もともと子ども食堂は、子どもに食事を提供する場として始まり、全国に広がっています。そこで生まれる人間関係に着目すると、単なる食事支援だけではない特徴が見えてきます。
地域の大人や学生ボランティアは、子どもたちと一緒に「いただきます」「ごちそうさま」を言い、食事をしたり、宿題を見たり、時には注意したりもします。その様子は一見、親子か教師と生徒の関係に似ています。しかし関係性は、ある時は兄や姉、またある時は友達のように関わるなど、状況によって変化します。また、大人も子どもも参加者は毎回同じとは限らず、好きな時に来て、帰ることができます。
こうした場では、本物の家族や学校ではないものの、それに似た関係性が生まれます。訪れるたびにその関係性が繰り返しつくられることで、子ども食堂は居場所として成立しています。
「サードプレイス」が求められている?
子ども食堂の観察から、居場所とは必ずしも長く所属する場所だけではないことがわかります。必要な時に立ち寄り、別の場所へ移ることもできる「一時的な居場所」にも重要な意味があるのです。帰属意識や責任を求められることなく、人と緩やかにつながれる居場所は「サードプレイス」と呼ばれ、現代社会を考察する上でも注目されています。所属や固定的な人間関係だけではなく、多様な居場所を行き来できる自由さが、新しい価値として見直されているのです。
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