ニーズが高まる「国際看護」 誰もが安心して医療を受けるには

健康への考えは国それぞれ
母国や育った環境が違えば、健康や看護に対する考え方も違います。例えば、日本人は日常的に体温や体重を測る人が多いのに対し、ほとんど測る習慣がない国・地域の人もいます。
衛生観念や医療システムも国・地域によって異なります。そのため、日本と異なる多様な背景を持つ人には、「日本ではあたりまえ」と思っている説明がそのままでは伝わらない場合があります。一方で、医療は誰もが平等に受けられるべきだと考えられています。そこで大事になるのが、国際看護、多文化看護の視点です。
習慣、価値観を尊重する
看護における平等とは、すべての患者に同じことをすることではなく、その人に合った看護を提供することです。例えば日本では多くの場合、出産時には病院で用意された服に着替えます。しかし、ムスリムの女性には他人に肌を見せないという価値観を大切にする人もいて、夏の出産でも長袖でヒジャブというスカーフ状の布で頭や首を覆っています。そうした価値観を理解して看護するかどうかで、ケアの質に大きな差が出ます。大事なのは、文化的背景、個人の習慣や価値観を尊重して一人一人と向き合うことです。
多文化を受け入れる感受性を
外国人への看護経験のある看護師を対象に「外国人の患者をケアするときと日本人の患者をケアするときを比べて、看護専門職としての自律性がどう変わるか」を調べたところ、外国人をケアするときの方がかなり低くなることがわかりました。日本ではここ数十年で在留外国人の数が増えています。多文化に対する感受性や交流を楽しむ力、肯定的に受け止める力を身につけないと、すべての人に質の高い看護を提供することは困難でしょう。また、外国人は日本ではまれな健康問題を抱えている場合があるので、世界の健康問題を知り、多様な文化背景を意識した看護が必要です。自分の常識をいったん手放し、多文化に対応する柔軟性や感受性を鍛えたグローバル思考の看護師が増えれば、本当の意味で日本は「誰もが安心して医療を受けられる」国になれるでしょう。
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大分県立看護科学大学 看護学部 看護学科 教授 桑野 紀子 先生
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