再エネは正義? 守りたい「環境」がぶつかるとき

再エネ発電が訴訟に
太陽光発電や風力発電は、再生可能エネルギー(再エネ)の比率向上に向けて導入が進められていますが、導入を巡って訴訟や紛争が起きることがあります。太陽光パネルの反射光がまぶしい、黒い色が景観を損なうといった生活環境への支障が、争いの種になるからです。風力発電では、風車の騒音のために夜眠れないとして、稼働の停止や損害賠償を求める裁判も起こされました。出力の大きなメガソーラーがつくられると、生態系への影響も問題になります。釧路湿原の周辺では、絶滅危惧種キタサンショウウオなどの生息環境を脅かしかねないとして、反対が起きました。
どちらも「環境」を守るために
太陽光や風力などの再エネが推進されてきたのは、地球の環境を守るためです。再エネは、二酸化炭素を減らし、安定した気候で暮らせるようにするためのものですが、目の前の自然環境や、人々の生活環境も守らなければなりません。再エネを推進する側も、自然や暮らしを守りたい側も、どちらも「環境のため」を願っています。どちらも大切だからこそ、この対立にたやすく答えは出ません。
法律が仕組みをつくる
では、答えの出ない対立に、社会はどう折り合いをつけるのでしょうか。そこで活躍するのが、みんなが従うルール、法律です。例えば、開発してよい場所とよくない場所を分けたり、開発の前に住民が意見を言える仕組みをつくったりするのも法律の役割です。また、自然との共生や、人の健やかで豊かな暮らしを実現するには、社会の仕組みづくりが欠かせません。二酸化炭素の排出量に応じて、企業に市場を通じて費用を負担させ、削減に取り組むよう促すなど、仕組みを土台で支えているのも法律です。
再エネを巡る問いに、簡単な正解はありません。推進派も反対派も、どちらも「環境のため」という善意から動いています。法律のもと、対立する善意の間で折り合う点を探し続けることが必要です。
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信州大学 経法学部 総合法律学科 教授 小林 寛 先生
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