環境保護と経済は両立できる? 「得する仕組み」で地球を守る

環境保護と経済は両立できる? 「得する仕組み」で地球を守る

段ボールは「資源」

使い終わった段ボールは、「ゴミ」ではなく「再生資源」です。金属やプラスチックと比べ、製造と流通面でCO₂排出量も少なく、水に溶かせば何度でも新しい段ボールに生まれ変わります。
この特性に着目し、段ボール製造会社と学生が組んで、衣服をかけるラックやパソコン用の傾斜台など、暮らしで用いられるエコ製品の開発が進められています。主なターゲットは大学生や新社会人で、一人暮らしを始める際に購入し、卒業や転勤で手放すときにはリサイクルに出せるタイプの家具です。使い終わったあとも再び素材化して利用でき、廃棄不要で、プラスの循環が生まれます。このように資源を循環させながら経済活動を行う考え方を「地域循環経済」と呼びます。

電気代が月1,000円に!

太陽光パネルを屋根に設置したアパートでは、電気代が月に1,000円ほどしかかからないケースもあります。自然エネルギーで発電するため、電気を購入をせずに済むのです。発電量が多い日には、余った電気を電力会社に売って収入を得ることもできます。
イギリスでは、すでに風力発電が最大の電力源になっています。日本と同じ島国でそれが実現しているなら、日本でも同じことができるはずです。自分たちの住む地域で電気を自給できれば、石油や天然ガスを海外から買い続ける必要がなくなり、生活費も大きく抑えられます。

損して得取れが大事

「地球環境のために行動しましょう」と呼びかけても、行動する人は限られがちです。そこで環境保護と経済を両立させる「得する社会的な仕組み」を設計する研究が進められています。環境意識がゼロの人でも経済的、心理的に、お得な行動を選べば、結果として環境保護につながる仕組みをつくるのです。鍵となるのが「損して得取れ」という考え方です。太陽光パネルや電気自動車は初期費用が高いですが、10年も経過すると、燃料代やメンテナンス費用を含めたトータルコストは安くなります。環境問題と経済問題は別々ではなく、同じ「得する仕組み」の中で解決できる課題なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

長野大学 地域経営学部  教授 市川 文彦 先生

長野大学 地域経営学部 教授 市川 文彦 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

社会経済システム論、持続的成長論

先生が目指すSDGs

メッセージ

経済学というと、株価や企業の利益を追いかける学問というイメージがあるかもしれません。しかし本来は、「どうすれば人は動くのか」という人間行動の仕組みを考えて、それを活用する学問でもあります。大切なのは視点を変えることです。短期的には損に見えるものが、10~20年のスパンで見ると実は経済的に得になるケースは、身の回りに数多くあります。今あなたが当たり前だと思っていることも、少し視点をずらすと新たなとらえ方が生まれます。さまざまな角度から物事を見る習慣を、ぜひ高校生のうちから意識してみてください。

長野大学に関心を持ったあなたは

長野大学は、1966年に地域の熱い期待を背負って誕生した「地域立」の大学です。本学は地域にある課題を発見し、地域とともに解決していく実践的な学びを大切にしています。地域には豊かな自然環境や歴史が宿る文化遺産、経済を牽引する産業や観光資源、安心して暮らせるまちづくりなど学びの要素があふれています。地域社会をフィールドに、主体的に考える力や、問題に対して多面的に取り組む力を養いながら漠然とした問題を明確化し、逆境に立ち向かっていける足腰の強い人材を育成します。