国が豊かになる仕組み フィリピンから学ぶこと

「何とか」経済成長を続けるフィリピン
フィリピンは、1980年代に深刻な経済危機を経験し、東南アジア諸国の中で唯一、債務不履行に陥りました。しかし90年代後半以降、急激ではないものの、マクロ経済は比較的安定した状態が保たれてきました。経済・金融危機の回避といった点で、一定の成果が確認されています。それぞれの国には強い個性があり、政治経済制度も多様です。まずは、「一つの国」の事例分析が出発点です。
中央銀行の独立性
こうした経済運営がなぜ可能だったのかを明らかにするため、「経済ガバナンス」を調査する必要があります。「ガバナンス」とは、「誰がどのように制度を作り、どう運用し、必要に応じてどう変えるか」というプロセス全体です。議会資料の分析や、政策決定に携わった官僚、議会スタッフへのインタビュー調査を通じて、法律(制度)の成立過程を詳細に追跡しました。その結果、独立性の高い中央銀行を創りその独立性を維持してきたことが、マクロ経済の安定に大きく寄与していることが確認できました。政治家は短期的な視点で、お金を使おうとする傾向があります。新興国では市場規模が小さいため、財政規律が緩むと極端なインフレが起きたり、外貨でお金を借り過ぎると返済できなくなるリスクが高まります。専門家が独立して経済政策を決定することで、こうした短期的な政治介入や過剰なマネー供給を抑え、経済の極端な変動を防ぐことができたのです。
一国の事例を世界の知見へ
この事例から、新興国が経済成長を持続し貧困を減らすためには、経済の専門家の独立性の担保が重要なことがわかります。これは政治的な決定の問題です。個々の国の事例を丁寧に分析することで、ほかの国にも応用可能な知見が得られるのです。世界には貧困・経済格差、平和、環境問題等、SDGsに代表されるさまざまな課題があります。グローバルイシュー(地球規模の課題)に対して、どのようなルールを定め、どのように協力して課題解決に当たるべきかを探究することは、国際政治研究の重要な役割です。
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先生情報 / 大学情報

信州大学 経法学部 総合法律学科 教授 美甘 信吾 先生
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国際政治、開発学、アジア政治経済先生が目指すSDGs
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