デジタルデバイス、AIや機械学習といった技術が日常生活の中にも浸透した現代社会では、世界中で膨大な量のデータが日々生み出されています。これらのデータや技術を活用して様々な課題を解決するために、数理的な思考、データサイエンス・AI分野の知識やスキルが社会全体として必要とされています。
一方で、グローバル化と技術分野の急速な進展に伴い、哲学、倫理、法学、社会学などの分野における新しい課題も顕在化してきています。目指すべき未来社会「人間中心のAI社会」を実現するためには、多様な視点から課題を捉え、バランスよく適切にデータや技術を扱うスキルが求められます。
これまでも情報やデータ分析に関する入門科目を、学部を超えて履修することが可能でしたが、ほとんどの学部においては必修科目ではなく、履修しない学生も多くいました。今こそ全学生に情報やデータの扱い方に関する最低限の知識を身につけてほしいと考え、学びを系統立てたカリキュラムとして用意したのが、「データサイエンス・AI教育プログラム」です。
プログラムは、大きく2段階の「リテラシーレベル」と「専門応用レベル」に分かれ、教養から学部の専門科目へと接続します。リテラシーレベルでは、全学共通授業科目として「データサイエンス・AI入門」を用意し、高校で数理系の科目から遠ざかっていた人にも学びやすくしています。「AI」「データサイエンス」「機械学習」など、「聞いたことはあるけど中身はわからない」ことへの理解を進め、Excelでデータ解析の基礎を学びながら、データを扱うときに注意すべき点を学習します。
さらに深く学びたい人のために、「専門応用レベル」として、各学部・学科でデータサイエンス・AI教育プログラムに指定されている科目を履修できます。駒澤大学では、多くの学部でデータサイエンス・AIに関係する授業や研究が行われています。例えば経済学部、グローバル・メディア・スタディーズ学部でのAI研究、文学部の地理情報系の研究があり、データサイエンスや統計は経営学部、文学部心理学科、社会学科など幅広い分野で使われています。こうした学びがひとつのプログラムとしてまとまったことで、学生にとってもよりわかりやすくなります。データサイエンスは現代の「読み書きそろばん」。例えば英検1級や漢検1級のように、「勉強すればできるもの」と考えてほしいと思います。文系・理系という分類にとらわれず、誰しもがデジタル社会の中で生きていかなくてはならない今、データサイエンスを自分の武器にできるようプログラムを用意しています。