現代は、AI、ロボット技術の進展、デジタルトランスフォーメーション(DX)による産業構造の変化が加速しています。日本でも仮想空間と現実を融合した「超スマート社会Society 5.0」の実現による経済発展と社会課題解決の未来図が描かれています。
金沢大学は、こうしたスマート社会を見据え「数理・データサイエンス・AI」のスキルを、未来ではなく、いま必須の能力であるととらえ、その教育に注力しています。わずか数年前には「スペシャルな能力」と考えられていた「数理・データサイエンス・AI」の基礎的能力は、暮らしの中でイノベーションが次々と起こる中、もはや「スタンダードな能力」であると言えます。その知識は、どのような業種や業界であっても無関係ではありません。そこで用意した学びが「データサイエンス特別プログラム」です。
「データサイエンス特別プログラム」では、数理・データサイエンス・AIを日常の生活、仕事等の場において使いこなし、その恩恵を享受するための基礎能力を身に付けます。文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)」の認定を受けており、どの学類に所属していても参加することができます。本学は、学生の個性と学ぶ権利を尊重し、年次や個々人の状況、適性、志望などに応じて、きめ細かにサポートする学修支援システムが充実しています。「データサイエンス特別プログラム」も、参加から修了、認定証のダウンロードまですべてWeb上で完結する全自動システムを構築しています。
このプログラムは、全4ランク制のプログラムから成り、スタートの「ブロンズランク」は1年次でも修了可能です。さらに、データサイエンス科目を順に修得することで、「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」とランクアップできる仕組みです。必修科目である「データサイエンス基礎」では、社会で起きている変化やデータ・AI利活用の最新動向についての概論を学びながら、Word、Excel、PowerPointを用いた基礎的なデータの読み方、説明方法、扱い方を身に付けます。同じく必修科目である「情報の科学」でそれらを掘り下げ、さらに選択科目ではビッグデータの活用など、より実践的に学びます。インターンシップや就職活動の際には、「データサイエンス特別プログラム」の修了認定証を自己PRとして活用できます。
2022年4月に設置された融合学域 観光デザイン学類を中心に、歴史文化都市「金沢」を舞台にしたデータサイエンスプロジェクトも開始しています。観光デザイン学類では、文理融合プログラムで応用力ある専門知識を身に付けることができます。金沢の歴史・文化的価値や、人の心理・行動を探求する人文科学的アプローチ、観光を基軸としたビジネス展開を見据えた社会科学的アプローチに加え、ICT等を活用した科学技術的アプローチを有機的に連携させて学びます。多様なプロジェクト型演習で社会との共創を学ぶだけでなく、街なかに演習拠点を整備するなど、自治体や産業界と連携した実践的な演習を実現しています。「観光VR・XR」「観光産業DX発展」など、データの力をベースとした観光の最先端を学べる授業科目が充実しています。Society 5.0時代の到来とコロナ禍以降のニューノーマル時代を見据えて、新たな観光価値をデザインし、イノベーションを創成する人材を養成します。
金沢大学では確かな専門力に加え、数理・データサイエンス・AI、VR等の先端科学、文理融合のSTEAM教育等、未来課題の探求と克服に必要となる最先端の「未来知」の創造に向けた教育を推進しています。さらに、2023年度には融合学域にスマート創成科学類(仮称)の設置を構想しており、現在申請中です。
本学類は、文理融合のカリキュラム体系で多様かつ最新の専門知識を身に付けるとともに、生活・産業・社会のあらゆる場面でAIやVRをはじめとするスマート技術を活用し、多様な幸福の実現、産業構造の変革、持続的で強靭な社会の構築を牽引する“未来の科学を創成する人材”を養成します。