2005年に設立された文化情報学部は、文化を対象にデータサイエンスの手法を用いた「知」の創造を目指して、教育・研究を行ってきました。2021年度には新たに学部のポジションを「文化情報」を供給する機関、文化研究の方法論的な基礎を供給する機関、研究機関型教育機関と定め、「文化情報」を基点とした「知」の創造を推進しています。そこで生み出される「文化情報」は近年重要視されている「総合知」と呼ばれるものです。内閣府によると、総合知とは「人文・社会科学と自然科学を含むあらゆる『知』の融合」であり、今後、人間や社会の総合的理解と課題解決に資するものとされています。
社会活動の様々な分野の実験・調査・観測によって得られたデータを用いて課題解決を目指し、新たな価値を創造することがデータサイエンスの目的です。本学部では、データサイエンスを専門とする教員が、他分野の様々な教員と協働して教育・研究を実施することで、学生と共に「知」の創造を行っています。
文化情報学部では、文系・理系の垣根を越えた「文化情報学」の学びのため、専門科目として文化資源、言語、行動に関わる多彩な科目を配置した「文化クラスター科目群」と、データ分析、基礎数理、情報・コンピュータに関する科目を基礎・応用・発展レベルで体系的に配置した「データサイエンス科目群」を提供しています。
本学部の特徴は、データサイエンスに関わる科目以外に、広く文化に関わる科目の履修を通して、様々な分野の専門レベルの知識に触れることで、方法論の修得だけではなく、問題の本質を捉える目を養える点です。また、文系・理系出身の学生がほぼ同じ割合で所属しており、異質性を包含した集団を形成しています。そのため、自身と考え方の異なる他者との交流が必要不可欠であり、そのような経験を通して、他者理解の重要性を理解しながら、成長できます。さらに、研究分野においても様々な分野の教員が24の研究室を主宰しており、研究対象は人文科学、社会科学、自然科学の広範囲に及びます。
文化情報学部の卒業生は大きく2つに分けられます。1つがデータサイエンスのハイレベルユーザー。文化に関する研究室で卒業研究を行い、データサイエンスの知識・技能を駆使して、実課題の解決や新たな価値発見に取り組み、実践的な知識・技能を身に付けた学生です。こちらの学生は、情報通信、メーカー、金融などを中心に、様々な業種の企業に就職しています。もう1つはデータサイエンスディベロッパー。方法論としてのデータサイエンスを卒業研究で扱い、専門的な知識・技能を身に付けた学生です。こちらの学生は、他大学も含めて大学院に進学し、その後、企業におけるデータサイエンティストや、研究機関における研究開発者の道に進むケースが多いです。具体的には、NTTデータ、日本IBM、日立製作所などのITベンダー、味の素、トヨタ自動車などのメーカーのデータサイエンティストや、大阪大学、京都大学、一橋大学、慶應義塾大学、同志社大学などのデータサイエンス関連分野の大学教員として活躍しています。