農地や水環境の保全にコロイド化学でアプローチ!

土の性質を決めているのは?
牛乳にレモン汁を入れると、白い固形物ができて分離・沈殿します。これは牛乳の中に分散していたタンパク質や乳脂肪がレモン汁の酸により集まったためです。牛乳のように、タンパク質や乳脂肪などの数ナノメートルから数マイクロメートルの大きさの粒子が媒質中に分散している状態を「コロイド」といいます。
土の中にも粘土鉱物や有機物などの、数ナノメートルから数マイクロメートルの大きさのコロイド粒子が大量に含まれています。土の中のコロイドの性質は土壌そのものの性質に深く関係しているため、農地の保全や水の浄化にコロイド化学でアプローチする研究が行われています。
泥水の浄化
その一つが泥水の浄化です。春に水田の「代(しろ)かき」をする際、泥でにごった水が田んぼの外へ漏れ出てしまうことがあります。泥水は、水中の光を遮ったり、含まれる肥料で富栄養化を引き起こしたりして生態系に悪影響を与える可能性があるため、泥水が問題となる場所では、速やかに泥を沈めて水を浄化しなければなりません。泥水の中のコロイド粒子は電荷を帯びているので、一般的には電解質(NaClなど)を加えれば、粒子同士が集合体を作る「凝集」を起こさせて、沈殿を促進できます。しかし、環境中では電解質の使用量などに配慮が必要であり、現行の浄化方法の改善や、より環境にやさしい凝集剤の探索が行われています。
農業や環境保全への応用
コロイド化学を農業に応用するためには、コロイドそのものについての基礎研究も欠かせません。コロイドを凝集させる凝集剤には、電解質のほか、溶液のpHを変化させる物質やポリマーなどがあります。凝集によってできるコロイドの集合体の強度が凝集剤によって異なることが、集合体の強度を測定して確認できるようになってきました。それに伴い、沈殿した土の層の物理的な性質がどのように変化するのかも調べられています。
土の性質を左右するコロイドの分散と凝集を制御し、環境や農地の保全技術の発展につなげようと研究が進められています。
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