講義No.12250 言語学

授業外も学び続けたくなるコツは? 第二言語教育のサイクル

授業外も学び続けたくなるコツは? 第二言語教育のサイクル

自律的な学びをうながすために

英語などの第二言語を教える教員たちの多くは、生徒が自主的に計画を立てて学び続けたくなる方法を考えています。応用言語学の研究者も教員を支援するための研究を行っており、自律性のある学びに必要なサイクルを考案しています。

9項目のサイクルを実践

サイクルの1つ目は、これまで実践してきた学び方を振り返ることです。2つ目に「未来の自分」をイメージすることです。そして生徒が3つ目の長期的目標と4つ目の短期的目標を設定します。5つ目は目標に到達するための勉強法を考えることです。一人でする必要はなく、教員や友達が勉強方法の例を提示します。6つ目に「SMART」を満たすように学習計画を考えます。SMARTとは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Related(目標に関した内容)、Time-bound(期限)の略称で、目標実現のための計画づくりに役立ちます。7つ目は学習計画を実践し、8つ目に自分が立てた計画が適切だったかを振り返り、9つ目は効果の出ない部分があれば修正します。最後にこのplanning-action-reflectionサイクルを続けます。このサイクルが定着すれば、授業外も高校卒業後も個人目標のために学習者自身が学習方法を工夫して勉強を続けやすくなるでしょう。

モチベーションを上げる方法

4つ目の短期的目標は重要です。例えば、3つ目の長期的目標で、「留学して現地の友達と英語で話したい」などの大きな目標はすぐに達成することが難しく、無力感を覚えがちです。大きな目標に対して「発音練習をする」、「語彙(ごい)を増やす」、「話すことに慣れる」などの簡単な短期的目標を設定すると、達成したときに自信を得ることができ、その後の学習へのモチベーションも上がるのです。
第二言語の自律的な学習には、ひとりひとりに合った目標と方法を明らかにし、実践することが重要です。より効果的な学習方法を求めて、研究は続きます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

学習院大学 文学部 英語英米文化学科 准教授 大橋 ルイーズ 先生

学習院大学 文学部 英語英米文化学科 准教授 大橋 ルイーズ 先生

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応用言語学、第二言語習得、英語教育

先生が目指すSDGs

メッセージ

まずはあなた自身をよく知ることが大切です。大学入学後に専門分野を変更するのは難しい場合があるからです。卒業後はどう生きたいかなど、将来の自分を考えておくと進路を選びやすくなります。また、大学入学は人生の短期的な目標のひとつだと考えましょう。入試に合格する、勉強に打ち込むなど、短期的な目標を達成して一歩ずつ前に進んでいけば大きな目標が近づいてきます。目標が明確ではなくとも「これがしたい」、「これはやりたくない」などの方向性は決めておくといいでしょう。

先生への質問

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ワンキャンパスで少人数教育を重視する学習院大学は、学生と教員の距離が近く、のびのびと学べるアットホームな校風が自慢。JR山手線目白駅から徒歩30秒という抜群の立地に、東京ドーム約4個分の広大なキャンパスを持ち、四季折々の美しい自然とともに大学生活を送れます。高い研究力に支えられた専門性、ワンキャンパスに5学部17学科が集う環境を活かした学際性の両面から、ブレない芯と、しなやかな協調性とをそなえた”T型人材”を育成します。