魔球「ジャイロボール」が投げられる新型ピッチングマシンが誕生!

魔球「ジャイロボール」が投げられる新型ピッチングマシンが誕生!

4つのローラでジャイロボールを投球する

プロ野球でたびたび話題になり、『MAJOR』という野球マンガにも登場した「ジャイロボール」は、ボールの回転軸が進行方向を向いた特殊な回転をするもので、実際に投げられる人はほとんどいません。ピッチングマシンとは、野球やソフトボールの打撃練習に使用され、投手の代わりに投球を行ってくれる機械です。ローラ式のマシンでは、複数のローラが球を挟むようにして射出する構造になっており、希望する球速でさまざまな球種(変化球)のボールを狙ったコースに投げ分けます。これまでにも、3つのローラで多様な変化球を投げることができるマシンが開発されましたが、4つのローラを用いることで、魔球と呼ばれる「ジャイロボール」も投球できるように進化しました。

ポイントは「ねじり」

3ローラ式マシンは、実投手が投げる時と同様にボールを3本の指で把持する状態を再現し、直球はもちろん、カーブやシュートなど多様な変化球を投げ分けられます。しかし魔球の1つであるジャイロボールは、ボールをねじるように投げることで特殊なジャイロ回転をかける必要があります。新型の4ローラ式マシンでは、4つのローラのうち対向する2つのローラを傾斜させ交差配置させることで、ボールを「ねじり」つつ投球することが可能になりました。

AIが投球パターンを再現する

4ローラ式ピッチングマシンを開発するため、人の投球法を分析し、機械で再現するために種々の数値シミュレーションを行い、マシンの機構や構造が最適化されました。また、AI(人工知能)を導入し、実投手が打者に対して行っているアウトコースのカーブの後に胸元に速い直球投げるといった投球パターンを忠実に再現することができるのです。こうした研究は、プロ野球選手等のハイレベルな練習を提供するだけでなく、あらゆる人が自分の運動能力にマッチした練習を行ってスポーツを存分に楽しむことができる時代へとつながっていきます。

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公立小松大学 生産システム科学部 生産システム科学科 教授 酒井 忍 先生

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高校で学ぶ数学や物理は、実生活に直結した部分を見つけにくい面があります。それを理由に、数学や物理をあまりおもしろくないと思うこともあるかもしれません。しかし、大学に入って工学や理学に関わるようになると、高校で学んだ数学や物理の知識がベースになっていることに気づくはずです。数学も物理も、実は私たちの生活に密接に関わっている大事な学問です。少しくらい苦手でも、嫌いでなければ理解できるようになる時がきっときます。本学で一緒に学びませんか。

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